2016年8月14日日曜日

白杖

通勤のため、

電車の先頭車両に乗って、

先頭の席に座っていたら、

次の駅で白い杖をついた女性が、

駅員に誘導されて乗ってきた。

30歳ぐらいか?

水色のワンピースを着て、

僕の隣に座った。

大阪で降りようとしたら、

彼女も同じだったので、

思い切って、

案内しましょうか?

と声をかけた。

彼女が僕の右ひじのあたりを持って、

たった数歩だったけど、

ドアまで導いた。

ホームにはすでに駅員が待機してて、

引き渡したんだけど、

後ろで、

阪急をご利用ですか?でも私は改札までしかご案内できません。

と駅員が言ってるのが聞こえた。

僕はエスカレーターへ、

彼女と駅んはエレビーターヘ。

でも、

気になったので、

彼女らが改札を出てくるのを待っていた。

そして、

阪急まで、

僕が案内しましょうか?

と申し出てみると、

ありがとうございます。

と、

とても素敵な声で彼女が言ってくれた。

歩道橋を登って、

改札まで。

5分ぐらいだっただろうか?

彼女はその間、

関西ではエスカレーターは右ですか?

とか、

グランフロントにはまだ行ってないんです。

ルクアに美味しいアップルパイの店があるんですけど、

行きたい行きたいと思っていながらもう3か月です。

などと明るく話してくれた。

彼女は、

視覚障害者の空有間認識の研究に協力するため、

関西大学に行く途中だということだった。

阪急梅田駅の改札で、

駅員を見つけて引き渡し、

お気をつけて、

と言って別れた。

勇気を出して声をかけてよかった、

と思う一方、

どうしてアップルパイの店、

今度一緒に行きましょうと言えなかったのかと、

ひどく後悔した。

彼女はその言葉を期待していたのではないのか?

僕は何を遠慮していたのだろう?

もし今度出会ったら、

ぜひ誘ってみよう。

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