2017年9月28日木曜日
真相
本日のレイトショー。
ネットでは真相について様々な意見があるようだけど、
僕は割と素直に受け止めた。
役所広司演じる主人公は、
30年前に2人を殺した刑を終え、
食品加工会社で働き始めるが、
社長が娘に暴行をしていることを知り、
殺害する。
逮捕されてからは、
社長夫人から保険金目当てで殺害を依頼されたと言い出し、
裁判で弁護側はその線で進めるが、
社長の娘が自分を助けるためだったと告白。
裁判で証言することになるが、
そのことを知った男は
そもそも自分は殺していないと言い出し、
裁判を混乱させる。
弁護側は結局、
殺していないと言う方向に舵を切るが、
時すでに遅しで、
男には死刑の判決が下る。
あらすじはこう言うもので、
僕は真相もその通りだと思った。
ただ、
映画では決定的な場面が描かれないので、
他の可能性がないかといえばそうとは言い切れない。
三度目の殺人の三度目とは、
二度の男による私刑と、
国家による死刑のことを指している。
この映画は、
死刑制度を批判していると言う見方もできるだろうけど、
それも本筋ではないように思う。
僕が印象的だったのは、
役所広司と娘役の広瀬すずの演技だ。
役所広司がうまいのは当然だとして、
広瀬すずがここまで印象的な演技をするとは、
思っても見なかった。
役所も広瀬も映画の中で明らかな嘘をついている。
特に広瀬の嘘は、
父親に暴行されていると言うことを、
誰かに気づいて欲しかった心の表れではないのか。
役所についても、
思惑通り裁判の焦点が娘からそれ、
死刑判決を受けて本望だったはずだけど、
それでもやはり誰かにわ自分の思いをわかって欲しいと言う気持ちはあったはずだ。
それが象徴的に現れたのが、
逃したカナリアだったのではないか。
弁護士役の福山雅治は、
ただ役所に振り回された挙句、
死刑判決を出すのに加担してしまう、
いわば道化だ。
真相はどうであれ、
この映画は奥深い秀作だと思う。
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