その老婦人は酒に酔っていた。
かなり。
一体どこでこんなに飲んだのか?
彼女が来た方角にある飲み屋、
といえば、
昔、
僕も通っていた立ち飲み屋しかないと思うのだが、
この人があそこで、
こんなになるまで飲んだのだろうか?
足元がふらついて、
雨も降るのに、
そのまま帰したのか?
そもそも、
なんでこんなに飲んだのか?
などなど、
聞きたいことはいっぱいあったけど、
僕の約束の時間も迫っている。
とにかく、
自転車置き場の管理所に行って、
傘を貸してくれと頼んだら、
快く、
一本くれた。
彼女に持たせ、
とにかく駅の屋根のあるところまで行きましょうというと、
彼女は、
そこからタクシーに乗って帰るかえ大丈夫だという。
なんども、
ありがとうありがとう、
と笑みを浮かべて。
あ〜薄情な僕は、
その言葉を信じることにして、
彼女と別れ、
駅の改札をくぐった。
白杖の人の時もそうなんだけど、
どうして、
もう一押しができないかな?
俺は。
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