2018年8月10日金曜日

出産

出産が命がけということは、

一般論としては知っていたけど、

これまで身近な人は安産ばかりで、

正直、

それほど危険なものという実感はなかった。

今日初めて、

命がけで出産した知り合いに話を聞いた。

医学的なことは良く理解したとは言えないけど、

大変だったことは伝わってきた。

何より彼女が一連の試練の中で味わった感覚、

体をチューブに繋がれ、

一体自分はこれからどうなってしまうのだろうという、

それまで味わったことのない不安の中で、

それまで彼女が仕事で接してきた人の気持ちが初めて分かった、

という話は印象深かった。

彼女と知り合ったのは11年前になる。

その頃僕は心身ともにボロ雑巾のようで、

まさに五里霧中だった。

その姿を彼女も見ていた。

そのころの僕のことを思い出したと言ってくれた。

そしてその後の僕もずっと見ていてくれた。

だから自分もなんとかやっていけるとも思ってくれたそうだ。

誰かの人生に自分ごときが影響を与えるなんて、

気恥ずかしいのだけれど、

多少なりともお役に立てたのなら、

僕の七転八倒も全くの無駄ではなかったわけだ。

そういう体験をしても、

僕も彼女も一目で何か変わったことは多分ない。

でも確実に内面は深まったと思う。

僕の場合、

深まったからといって、

急に人間性が向上したわけではないけれど。

ただ僕が変わったのは、

自分は自分の価値観で人生を生きるけど、

その価値観は自分のものであり、

他人には他人の価値観があることを許容するということだ。

それは、

まさに自分の力ではどうにもならない状況に置かれて、

なんとか這い上がった中で生まれた。

と言ってもね、

本当の本当の、

自分の核心みたいなものは変わっていないのも事実。

その核をむき出しではなく、

柔らかなクッションがついたような感じかな。

それにしても女性は強い。

彼女の独身の後輩が、

行き遅れの会なんてあっけらかんと自称している。

人間、

立場を超えて垣間見る人間性に触れた時、

なんとも言えない絆を感じる。

11年の宝物だ。

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