12年前、
酒浸りの末期症状のとき、
それは苦しかった。
手が震え文字さえまともに書けなかった。
それでも酒が切れるといたたまれず、
死んでしまうのではないかと大げさではなく思っていた。
そんなところからなぜピタッと止めることができたのか。
正確にいつ最後の酒を飲んだのか正直覚えていない。
ただ言えるのは、
このまま飲み続ければ死ぬなと実感したことは大きかった。
死にたくない。
そう思ったとき、
不思議なほどピタッとやめられた。
要は精神的なものだったのかもしれない。
だっていわゆる禁断症状的なものはなかったのだから。
どん底で悟る。
それは僕の典型的な性格だ。
同時に逆説的に弱い部分でもあるように思う。
確信的にアル中の道に踏み込みながら、
結局その道を行ききることなく、
死ぬかも知れないと思った途端、
怖くなって引き返したとも言える。
本当に覚悟があったなら、
そのまま死んでいただろう。
その優柔不断さに救われた。
なかなかやめられなかった僕だが、
やめてからは一度も再飲酒はしていない。
多くの人は止めては飲み、
また止めては飲むの繰り返す。
僕は止めるまでは通院しながらも1日たりとも飲まない日はなかった。
なのに止めた後はピタッと止めて今日に至る。
アル中になる道は大体皆同じだけど、
止め方には人それぞれの道があるもんだ。
僕は恵まれていた。
そのことについてはまたいずれ。
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