僕が今いる子会社の若手が、
本社で勤務することになった。
本社とは言え、
同じ建物の4階から3階に移るだけなのだが、
前例のない異例中の異例の抜擢ということになる。
数年前に僕が出向した時、
彼は直属の部下だった。
彼に抜群の才能があることはすぐに分かった。
こんな人材がここでくすぶっているのはもったいないと、
ずっと思っていた。
そういう意味で素直に喜んでいるのだが、
一方で、
今のある意味天国のような職場環境から、
修羅場となる3階に行くことが、
果たして彼の幸せかどうか、
一抹の不安もある。
まぁ彼なら最初は戸惑っても十分適応してくれるだろうけど。
そして僕は今の出向先にあと数年はいて欲しいと言われた。
ずっと3階に戻りたいと希望を出してきたけど、
内心、
もう戻ることはないだろうと思っていたから、
ショックはない。
むしろ、
3階に行く彼のような人材を育てて欲しいと、
明確なミッションを与えられたことで、
ある意味腹を括った感はある。
そのことに僕の失敗も成功も、
あらゆる経験が役に立つなら本望だと思う。
これまで宙ぶらりんだった立場がはっきりして、
もつれていた感情が時ほぐされた感じだ。
ただそんな口約束はあてにならないことも僕は知っている。
否が応でも新陳代謝するのが組織だ。
ただ、
3階の修羅場で、
彼は正社員より安い給料で働かされるわけで、
これは会社が初めっから企んでいたことなのは明白で、
それに加担することに後ろめたさもある。
スッキリした、
本望だと言いながら、
そういう複雑な思いもある。
古巣の存在を脅かすことにもなるからだ。
まぁ、
難しく考えるのはよそう。
それでもやっぱり、
会社ってのは狡猾だなぁと思う。
新しいフェーズに入ったわが出向先である。
0 件のコメント:
コメントを投稿