2018年3月13日火曜日

覚悟

僕が今いる子会社の若手が、

本社で勤務することになった。

本社とは言え、

同じ建物の4階から3階に移るだけなのだが、

前例のない異例中の異例の抜擢ということになる。

数年前に僕が出向した時、

彼は直属の部下だった。

彼に抜群の才能があることはすぐに分かった。

こんな人材がここでくすぶっているのはもったいないと、

ずっと思っていた。

そういう意味で素直に喜んでいるのだが、

一方で、

今のある意味天国のような職場環境から、

修羅場となる3階に行くことが、

果たして彼の幸せかどうか、

一抹の不安もある。

まぁ彼なら最初は戸惑っても十分適応してくれるだろうけど。

そして僕は今の出向先にあと数年はいて欲しいと言われた。

ずっと3階に戻りたいと希望を出してきたけど、

内心、

もう戻ることはないだろうと思っていたから、

ショックはない。

むしろ、

3階に行く彼のような人材を育てて欲しいと、

明確なミッションを与えられたことで、

ある意味腹を括った感はある。

そのことに僕の失敗も成功も、

あらゆる経験が役に立つなら本望だと思う。

これまで宙ぶらりんだった立場がはっきりして、

もつれていた感情が時ほぐされた感じだ。

ただそんな口約束はあてにならないことも僕は知っている。

否が応でも新陳代謝するのが組織だ。

ただ、

3階の修羅場で、

彼は正社員より安い給料で働かされるわけで、

これは会社が初めっから企んでいたことなのは明白で、

それに加担することに後ろめたさもある。

スッキリした、

本望だと言いながら、

そういう複雑な思いもある。

古巣の存在を脅かすことにもなるからだ。

まぁ、

難しく考えるのはよそう。

それでもやっぱり、

会社ってのは狡猾だなぁと思う。

新しいフェーズに入ったわが出向先である。


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