ぼくが唯一持っているクラシックのCDは、
グレン・グールドが1983年に発表した、
「ゴールドベルク変奏曲」だ。
この年に大学に入学したから間違いない。
当然CDではなく、
東京の狭い下宿近くのレンタルレコード店で借りたのが最初だ。
そのレンタル屋ではなんと、
カセットにダビングまでしてくれた。
著作権などが大して問題にされなかった、
今の中国のような時代だ。
ともかくこの演奏はひどく気に入り、
今はCDが部屋にある。
彼の衝撃的なレコードデビューもこの曲で、
つまり彼は何十年かしてセルフリメイクした訳だ。
彼はその後すぐ、
50歳で亡くなった。
デビュー作と遺作がこの曲になった。
演奏会嫌い、
革命的な曲解釈など、
特異な側面が多く語られる彼だけど、
クラシックに詳しくないぼくでも、
このゴールドベルクの演奏からは、
尋常でないレベルでの崇高なるものを感じる。
さて、
なんでこんな事を書いているかというと、
先日NHKで彼を紹介する番組を観たからだ。
その中で、
彼の死の床には夏目漱石の「草枕」が置かれていた、
というエピソードがあった(はず)。
「智に働けば角が立つ。。。」の一節が有名だけど、
ぼくは読んだことがない。
とても印象に残ったので、
すぐに梅田の紀伊国屋で岩波文庫版を買いました。
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