「ティファニーで朝食を」って、
オードリー・ヘップバーンの映画、
主題歌(?)「ムーン・リバー」が有名だけど、
遅まきながら原作を読んだ。
本屋でたまたま村上春樹訳(新潮社)が目にとまり、
何気に買ったのだけど、
一気読みに近い面白さだった。
作者トルーマン・カポーティーの作品は、
「冷血」(新潮文庫)を読んだことがあって、
こちらは実際にあった一家惨殺事件を題材にしたもので、
非常に強烈な印象が残っている。
で「ティファニー」は、
それとは全然違うお話で、
内容はおなじみなんだけど、
とにかく主人公のホリーの人物造形が圧倒的に魅力的だ。
野良猫を愛し、
かごの鳥を嫌う、
このホリーとのひと時の交流が、
同じマンションに住む小説家の目を通して語られるんだけど、
それは進行形ではなく、
既に彼女が彼の前から姿を消してからの回想仕立てになっていて、
ここでもまた、
「さよならだけが人生だ」という言葉を思い出した。
ところで、
ぼくとしてはこの言葉は、
「さよならこそが人生だ」という風に理解したいと思っている。
人生には自分の力ではどうしようもないことが起きるものだというニヒリズムじゃなくて、
人が出会い別れる、
そのダイナミズムの中にこそ人生の醍醐味があるという風に。
で「ティファニー」なんだけど、
訳者あとがきにもあるように、
この小説の最大の難点は、
読んでいて、
どーしてもオードリーとホリーを重ねて読んでしまう点である。
それだけ映画も名作ってことなんだけど、
カポーティー自身はオードリーに配役したことを気にいらなかったらしい。
じゃ誰が最適なんだろう?
●天満のじゃず家は、セッションでよく行く素敵なお店だが、今日はライブを観に行った。中川由美子(pf)、張木浩司(b)、上野泰宏(d)、遠藤真理子(as)。遠藤さんって、全然知らなかったんだけど、思いっきり素敵でした。足を痛めておられるようで、見た目痛々しかったですが、音は力強かった。こういう人が関西にいるのを知らなかった無知を恥じます。
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