会社の喫煙室で夕方、
桂小枝が賃貸の不動産物件を紹介する、
テレビ番組を見ていたら、
やたらとニッチの多い家だった。
ニッチって、
つまり壁の窪み。
物を置くには奥行きがなさすぎる。
でも、
なんとなく空間を広く感じさせる効果があるそうで、
その家には確か80近いニッチがあった。
ニッチには、
ほかにも隙間という意味がある。
ニッチ産業とか言うよね。
そういえば、
ぼくがジャズボーカルを始めたのも、
男性が少ない隙間産業としてだったような。
てなことがあって、
録画した情熱大陸を、
帰宅してから見たら、
ゴールデンボンバー。
はっきり言って、
まったく興味なかったんだけど、
実に面白かった。
あのバンド、
楽器は実際には弾いていない「エアバンド」。
そんなことすら知らなかった。
紅白の録画も当然のようにスルーしてた。
ボーカルの鬼龍院翔という名前がすでに、
キワモノなのだけど、
彼が曲も詩もすべて作っているという。
3分でソールドアウトしたという、
ライブに詰めかけたファンによると、
その詩がいいんだとか。
彼は作詞をマクドの紙ナプキンに書いているというのも、
いかにもキワモノな話しだけど、
彼いわく、
その雰囲気が自然な言葉を生み出すのだそうだ。
会いたいのに会えない。
それはわかる。
今行けば、
まだ学校にいるかも。
おー。
そういう感性は、
ぼくの中にはもうどこにもないな。
ライブでは、
歌っている彼を除けば、
あとの3人はほとんどコミックショーの団員。
でも、
「女々しくて」という大ヒット曲は、
昨年のカラオケで最も歌われたそうだ。
100のバンドがあって、
99がかっこ良かったら、
1つのダサいバンドが目立つじゃないですか。
彼なりの芸能界で生き残る哲学だ。
キワモノサラリーマンとしては、
なかなか共感できる人物だった。