高校の体育の授業で、
テニス部でペアを組んでたK間君と、
試合することになった。
K間君はぼくより小柄だったけど、
運動神経はぼくと比べ物にならないくらい良く、
油断していたわけじゃなかった。
なのに。
試合開始30秒もたたないうちに、
K間君はぼくの懐にフッと入ると、
次の瞬間、
ぼくは畳にたたきつけられていた。
ものの見事な一本背負い。
あまりの鮮やかさに、
恥ずかしい気持ちも、
悔しい気持ちもわかず、
まさに呆然としていたのを、
いまだに覚えている。
そんな感じで今日、
今度は後輩に一本とられた。
あの時と同じように、
油断していたわけではなかった。
警戒レベル1ぐらいはあった。
一瞬気を緩めた瞬間、
後輩は技をかけてきた。
お見事。
今回は、
相手が後輩だけに、
K間君に投げられた時よりは、
いくぶん悔しさが勝ったけど、
それを見て喜んでいる人がいるんだから、
まぁ、
よかったんじゃないの。
腕上げたな。
でも、
その手はもう二度と食わないぜ。
鳴尾の後輩よ。