琥珀のまたたきが失踪してしまったので、
深夜特急を再開。
そうそう、
深夜特急の途中で、
小川洋子のことりに浮気したのが、
ことの始まりで、
ようやく元サヤに戻ったというところ。
この30年前の旅行記が面白いのは、
単にあそこに行った、
どこそこでこんな苦労した、
みたいな事だけではなく、
筆者の内面描写に紙幅が多く割かれているからだろう。
時代は変われど、
旅する若者の内面は、
普遍的な気がする。
かといって、
具体性がないわけではなく、
特に宿代や交通費などの金銭面については、
やたらに詳しい。
それは、
筆者が旅行中の記録として、
出納帳をつけていて、
それを元に十数年後に書かれた、
という事情と深いつながりがあると思う。
どこで幾ら使ったかを見れば、
当時の景色や感触や思いが蘇るのだろう。
プルーストのマドレーヌのように。
と同時に、
当時の自分を客観視するのに、
十分な時も過ぎている。
具体性と内面、
主観と客観、
その辺りの塩梅が実によいのである。
適度に寝かせたワインというところか。
よく知らないけど。
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