2016年2月25日木曜日

元鞘

琥珀のまたたきが失踪してしまったので、
深夜特急を再開。

そうそう、
深夜特急の途中で、
小川洋子のことりに浮気したのが、
ことの始まりで、

ようやく元サヤに戻ったというところ。

この30年前の旅行記が面白いのは、
単にあそこに行った、
どこそこでこんな苦労した、
みたいな事だけではなく、
筆者の内面描写に紙幅が多く割かれているからだろう。

時代は変われど、
旅する若者の内面は、
普遍的な気がする。

かといって、
具体性がないわけではなく、
特に宿代や交通費などの金銭面については、
やたらに詳しい。

それは、
筆者が旅行中の記録として、
出納帳をつけていて、

それを元に十数年後に書かれた、
という事情と深いつながりがあると思う。

どこで幾ら使ったかを見れば、
当時の景色や感触や思いが蘇るのだろう。

プルーストのマドレーヌのように。

と同時に、
当時の自分を客観視するのに、
十分な時も過ぎている。

具体性と内面、
主観と客観、
その辺りの塩梅が実によいのである。

適度に寝かせたワインというところか。

よく知らないけど。

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