2017年12月13日水曜日

法廷

本日のロードショー。

否定と肯定。

ホロコーストはなかったと主張する著述家が、

アメリカの学者に名誉を毀損されたと訴えた、

2000年に実際にあったイギリスでの裁判。

この国の裁判制度はちょっと変わっていて、

訴えられた被告の側に立証責任がある。

つまり、

名誉毀損ではないということを、

被告のアメリカ人学者の側が証明せねばならない。

弁護団はイギリスの超一流が担当した。

彼らの弁護方針は一貫していた。

被告の女性学者には一切証言させない。

ホロコーストの被害者の証人喚問も行わない。

そのかわり、

原告の男のことは何年も前の映像文章、

ありとあらゆる資料を徹底的に調べる。

そして法廷専門の弁護士もまた超一流。

つまり、

センセーショナルな話題になりそうなリスクは一切避けて、

相手の英国人の長年にわたる言動から、

彼がいかに反ユダヤ思想の持ち主であり、

著作に使われた資料は恣意的に都合よく捻じ曲げられている。

よって名誉毀損には当たらないことを立証するというもの。

その徹底ぶりには驚かされる。

アメリカ人学者にしてみれば、

徹底的に法廷でやり合う気満々だった。

でも、

英国人弁護団は一切妥協しなかった。

多分、

完膚なきまでに相手を論理的に看破して、

二度と追随者が出てこないように、

鉄壁の弁護をしたのだ。

相手の思う壺にはまらないように、

センセーショナルになることを避け、

学術的な知見の積み重ねで相手のいかがわしさを際立たせる。

そのために、

億単位の弁護費用がユダヤ系有名人から集まったという。

歴史的事実というものは、

日本でも南京大虐殺とか、

今でも意見が対立している分野がある。

そういう勢力に断固として徹底的に完膚なきまでに勝訴する。

事実としてこの英国人学者は2億円の支払いを命じられ破産したそうだ。

ハリウッド的法廷ものとは違う、

クールな法廷劇だった。

俳優陣は皆素晴らしく、

なんの前評判もない映画だったが、

僕は非常に勉強になった。

歴史の真実を守るのも戦いなのだ。




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