本日のロードショー。
否定と肯定。
ホロコーストはなかったと主張する著述家が、
アメリカの学者に名誉を毀損されたと訴えた、
2000年に実際にあったイギリスでの裁判。
この国の裁判制度はちょっと変わっていて、
訴えられた被告の側に立証責任がある。
つまり、
名誉毀損ではないということを、
被告のアメリカ人学者の側が証明せねばならない。
弁護団はイギリスの超一流が担当した。
彼らの弁護方針は一貫していた。
被告の女性学者には一切証言させない。
ホロコーストの被害者の証人喚問も行わない。
そのかわり、
原告の男のことは何年も前の映像文章、
ありとあらゆる資料を徹底的に調べる。
そして法廷専門の弁護士もまた超一流。
つまり、
センセーショナルな話題になりそうなリスクは一切避けて、
相手の英国人の長年にわたる言動から、
彼がいかに反ユダヤ思想の持ち主であり、
著作に使われた資料は恣意的に都合よく捻じ曲げられている。
よって名誉毀損には当たらないことを立証するというもの。
その徹底ぶりには驚かされる。
アメリカ人学者にしてみれば、
徹底的に法廷でやり合う気満々だった。
でも、
英国人弁護団は一切妥協しなかった。
多分、
完膚なきまでに相手を論理的に看破して、
二度と追随者が出てこないように、
鉄壁の弁護をしたのだ。
相手の思う壺にはまらないように、
センセーショナルになることを避け、
学術的な知見の積み重ねで相手のいかがわしさを際立たせる。
そのために、
億単位の弁護費用がユダヤ系有名人から集まったという。
歴史的事実というものは、
日本でも南京大虐殺とか、
今でも意見が対立している分野がある。
そういう勢力に断固として徹底的に完膚なきまでに勝訴する。
事実としてこの英国人学者は2億円の支払いを命じられ破産したそうだ。
ハリウッド的法廷ものとは違う、
クールな法廷劇だった。
俳優陣は皆素晴らしく、
なんの前評判もない映画だったが、
僕は非常に勉強になった。
歴史の真実を守るのも戦いなのだ。
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