男子フィギュアの日本人3人は、
好対照だった。
田中刑事はいわゆるこれまでの日本人の典型。
五輪のプレッシャーに押し潰され、
実力とは程遠い出来。
宇野昌磨はいわゆるゆとり世代。
五輪ということを特別に意識せず、
自分の納得のいく演技ができれば良い。
その考えが結果的に好結果をもたらした。
そして羽生。
直前の怪我というアクシデントさえ、
自分を劇的に盛り上げる要素にして、
何が何でも連覇するんだという意志が強烈にあった。
あらゆるプレッシャーを力に変える、
特殊な回路を持っている。
ひょっとして目標は五輪連覇ではなく、
前回ソチのフリーで失敗しながら金という、
納得のいかない金に対するリベンジが彼の目標だのだろう。
どうすればそこまでの意志を持ち続けることができるのか、
不思議でしょうがないが、
それが羽生の羽生たる所以だ。
逆境になればなるほど燃える。
五輪に愛される選手とは彼のような人だろう。
彼の行動には賛否両論あると聞く。
あの自分こそ最高だ、
どうだ!
という雰囲気が鼻につくという人もいる。
日本人は謙虚で真面目でストイックで、
それに打ち勝つ選手を好む。
そういう意味で羽生は規格外だ。
最近そういう漫画のような選手が日本人に出てきた。
大谷翔平もその一人。
そんなこと出来るわけないよということを、
本気で出来ると信じ、
実現してしまう。
それが本気だから周囲も全力でサポートする。
全ては本人の強烈な意志だ。
羽生が金を取るかどうかは予断を許さない。
2位のフェルナンデスは強敵だ。
決して安全圏内にいるわけではない。
でも小塚は金を取るか否かではなく。
世界最高得点を更新するかを達成できるかどうかがポイントだという。
まるで金は前提のような口ぶりだった。
勝負事に絶対はない。
羽生がまた怪我をして惨敗することだって可能性ゼロではない。
でも彼が本当に五輪に愛されているのなら、
前代未聞の金を掴むだろう。
彼のあまりに強い意志の前に、
周囲の選手はわずかでも弱気になってはいけない。
羽生以上の勝ちたいという意志がないと。
でも、
そんな選手がいるようには見えなかった。
羽生に唯一の弱点があるとすれば、
フリーを滑り切る体力がもつかどうかではないか。
でも、
そんなことも杞憂なのだろう。
ショートの一本めの4回転サルコーを決めた瞬間の、
会場の歓声はものすごかった。
世界中が彼の漫画的快挙を楽しみにしているようにも思える。
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