羽生のフリーの演技には
金メダルを獲るのに必要なプラスαが宿っていた。
決して完璧な演技ではなかったと思うけど、
絶対に転けない、
絶対に出し切る。
全身からその気迫がほとばしって会場を支配し、
見るもの全てを引きずり込んだ。
4年に1度の舞台であれができる、
それが彼のすごさだ。
演技を終えた後の仕草、
右足を触り氷に触る、
そういうのを関西弁でイキりと言って嫌う人もいる。
その気持ちはわかる。
でもそういう次元じゃない。
彼を襲った状況で、
あの舞台に立っていること自体が奇跡的なのに、
そこで金を連覇してしまう。
もう奇跡以上の超人だと思う。
おそらく彼以上にフィギュアの才能がある人間は、
地球上に他にいるだろう。
だけど彼以上に突き詰めて努力して、
それを演技に昇華できる人はいないだろう。
対照的なのが宇野だ。
とことんクールで、
最初の4回転で転けても、
2位狙いに切り替えてその後を滑り切る、
それもまた稀有な才能だ。
156センチしかない男がなんと大きく見えたことか。
急成長には目を見張る。
あの二人に比べたら、
フェルナンデスは明らかに五輪の重圧に押されていた。
いい演技なんだけど、
見るものを圧倒できなかった。
それが普通なのだ。
羽生と宇野がいい意味で異常なのであり、
そういう選手こそが五輪で金を手にするのだ。
五輪の魔物と手を組んで、
自らが魔物になった者だけが手にできる勲章だ。
一生に何回もあるわけではない、
すごいものを見せてもらった。
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