2018年2月7日水曜日
看板
本日のロードショー。
人種差別と偏見がはびこるアメリカ南部の田舎町。
娘をレイプされ焼き殺された母親が、
捜査が進まないことに業を煮やし、
町外れの道路沿いの看板に、
警察署長を痛烈に皮肉る広告を出したことから物語は始まる。
表向き静かな町に衝撃が走り、
住民は、
母親に同情しながらも、
看板を取りやめるようなだめる。
が、
母親は頑として聞かない。
ここまで見たら、
警察vs.母親、
みたいな感じで話が進むと思うのだが、
そう一筋縄ではいかない。
この警察署長、
実は大変な好人物。
しかも末期がんで余命わずか。
母親の気持ちはわかるが、
操作は完全に膠着状態なのだ理解してくれと説明する。
でも母親は聞く耳を持たない。
そして、
人格者の警察署長は何通もの遺書を残して自殺する。
物語はここから本格的に動きだす。
後任の署長は黒人で、
差別体質の警官にクビを言い渡す。
いよいよ母親の言い分が認められて犯人探しになるのかと思いきや、
署長の自殺の悲しみの矛先は母親に向けられ、
また、
クビになった警官の内面にも変化が訪れる。
そこでまた事件が起きて、、、
とにかく物語は僕の想定外へと二転三転していく。
母親の元夫や息子、
警官や小人の男。
様々な登場人物が絡み合って、
意外なラストへと向かっていく。
作中、
怒りは怒りを呼ぶ、
というセリフが出てくる。
その通り、
怒りは怒りを呼んで手のつけようがないほどになって、
それでも人々は自らを見つめ次第に自分の落ち度に気づく。
登場人物誰もがそれなりの理由を抱えて生きている。
そして大事なのは他人を思いやることだと、
そう語りかけてくる。
今のアメリカでこの映画が作られた意味を考えながら、
ステレオタイプに物語が進むと思い込んだ自分が、
ちょっと情けなかった。
何の根拠もないけど、
これだけの傑作はアカデミー賞を獲るだろうなと思った。
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