2017年8月22日火曜日

現実

塚本晋也監督の、

「野火」

をDVDで鑑賞。

原作は大岡昇平の小説だ。

先日、

第二次大戦インパール作戦のことを書いたけど、

この作品の舞台はフィリピンレイテ島。

場所は違えど、

ジャングルの中を敗走する兵士の無残さは、

おそらく同じようなものだったのではないか。

とにかく描写が凄まじい。

戦闘機からの機銃攻撃で、

頭が吹っ飛ぶ。

腹を打たれ内臓が飛び出る。

手や足がもげ、

死体に蛆がわき体から滝のように流れ出る。

そうした地獄絵図のようなジャングルの中を、

主人公の小説家はさまよう。

飢える。

飢え尽くす。

幻覚に見えた真っ赤な花が、

食べていいのよ、

と囁きかける。

ふと、

自分に銃が向けられていることに気づき、

我にかえると、

真っ赤な花は、

ちぎれた誰かの腕だった。

ふてぶてしかった上官の気がふれる。

気を失い、

目がさめると、

干した猿の肉だ食え、

と仲間が言う。

それを食べ生きながらえる。

仲間が猿を撃ってくると言い残し、

出かける。

パーン。

パーン。

パーン。

その現場を目撃する。

狙っていたのは現地の人だった。

猿は人だった。

人の肉の干物を食べたのだ、、、

これは見なくていい映画なのか。

見るべき映画なのか。

一つ言えるのは、

これほどの戦争映画を僕は見たことがない。

僕は戦場を知らないけれど、

これが本当なんだと思う。

リリーフランキーが言う。

兵隊はよ、

死ぬ前には芋をタバコと取り換えるんだよ、、、

こんな経験をして日本に帰り、

生き抜いてきたお年寄りが、

大勢いるはずだ。

でもその多くは90歳代だろう。

彼らが死に絶えても、

この映画は残る。

よくぞ作ってくれたと思う。


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