塚本晋也監督の、
「野火」
をDVDで鑑賞。
原作は大岡昇平の小説だ。
先日、
第二次大戦インパール作戦のことを書いたけど、
この作品の舞台はフィリピンレイテ島。
場所は違えど、
ジャングルの中を敗走する兵士の無残さは、
おそらく同じようなものだったのではないか。
とにかく描写が凄まじい。
戦闘機からの機銃攻撃で、
頭が吹っ飛ぶ。
腹を打たれ内臓が飛び出る。
手や足がもげ、
死体に蛆がわき体から滝のように流れ出る。
そうした地獄絵図のようなジャングルの中を、
主人公の小説家はさまよう。
飢える。
飢え尽くす。
幻覚に見えた真っ赤な花が、
食べていいのよ、
と囁きかける。
ふと、
自分に銃が向けられていることに気づき、
我にかえると、
真っ赤な花は、
ちぎれた誰かの腕だった。
ふてぶてしかった上官の気がふれる。
気を失い、
目がさめると、
干した猿の肉だ食え、
と仲間が言う。
それを食べ生きながらえる。
仲間が猿を撃ってくると言い残し、
出かける。
パーン。
パーン。
パーン。
その現場を目撃する。
狙っていたのは現地の人だった。
猿は人だった。
人の肉の干物を食べたのだ、、、
これは見なくていい映画なのか。
見るべき映画なのか。
一つ言えるのは、
これほどの戦争映画を僕は見たことがない。
僕は戦場を知らないけれど、
これが本当なんだと思う。
リリーフランキーが言う。
兵隊はよ、
死ぬ前には芋をタバコと取り換えるんだよ、、、
こんな経験をして日本に帰り、
生き抜いてきたお年寄りが、
大勢いるはずだ。
でもその多くは90歳代だろう。
彼らが死に絶えても、
この映画は残る。
よくぞ作ってくれたと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿