2018年5月8日火曜日

体操

ブレットシュナイダー。

聞きなれない言葉は、

体操の鉄棒の技だ。

H難度。

内村航平にとっても未知の領域だという。

あの、

大会40連覇を成し遂げた体操の天才にして、

その技を習得するのは至難なのだそうだ。

100回やって100回成功する。

目をつぶってても成功する。

そのレベルに達しないと試合では使えないという。

フィニッシュで空中に舞い上がり、

鉄棒の上で1回転する間に体を2回ひねる。

飛んでいる間に鉄棒がほとんど見えない。

そこが難しいのだという。

鉄棒に頭をぶつけるのではないかという恐怖が拭えない。

何ヶ月もかけて何度も何度も挑むが、

バーを掴めない。

10年前に取り入れようとしたけれど、

危険すぎるからやめたのだそうだ。

その技をなぜあえて今取り組むのか。

全ては東京五輪の代表に入るためだ。

彼も20代後半。

体操の世界ではベテランとなった。

若手の追い上げは王様を脅かすまでになった。

肉体の衰えも実感しているという。

連勝記録も途絶えた。

だからこそ挑む。

そして、

彼のすごいところは、

そういう大技以上に、

倒立や踏切といった地味で面白くない練習に時間を割くところだ。

誰よりも難しい演技を簡単そうに見せること。

それが彼の矜持は、

その弛み無い基礎訓練が彼をこれまで支えて来たのだ。

実際のところ、

あと2年でさらに彼の肉体は衰える。

代表に入れる保証は何もない。

それでも彼は誰よりも練習し、

怪我も乗り越えNHK杯に挑む。

イチローと同じ求道者の姿をそこに見る。

諦めない王者から目が離せない。

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