ブレットシュナイダー。
聞きなれない言葉は、
体操の鉄棒の技だ。
H難度。
内村航平にとっても未知の領域だという。
あの、
大会40連覇を成し遂げた体操の天才にして、
その技を習得するのは至難なのだそうだ。
100回やって100回成功する。
目をつぶってても成功する。
そのレベルに達しないと試合では使えないという。
フィニッシュで空中に舞い上がり、
鉄棒の上で1回転する間に体を2回ひねる。
飛んでいる間に鉄棒がほとんど見えない。
そこが難しいのだという。
鉄棒に頭をぶつけるのではないかという恐怖が拭えない。
何ヶ月もかけて何度も何度も挑むが、
バーを掴めない。
10年前に取り入れようとしたけれど、
危険すぎるからやめたのだそうだ。
その技をなぜあえて今取り組むのか。
全ては東京五輪の代表に入るためだ。
彼も20代後半。
体操の世界ではベテランとなった。
若手の追い上げは王様を脅かすまでになった。
肉体の衰えも実感しているという。
連勝記録も途絶えた。
だからこそ挑む。
そして、
彼のすごいところは、
そういう大技以上に、
倒立や踏切といった地味で面白くない練習に時間を割くところだ。
誰よりも難しい演技を簡単そうに見せること。
それが彼の矜持は、
その弛み無い基礎訓練が彼をこれまで支えて来たのだ。
実際のところ、
あと2年でさらに彼の肉体は衰える。
代表に入れる保証は何もない。
それでも彼は誰よりも練習し、
怪我も乗り越えNHK杯に挑む。
イチローと同じ求道者の姿をそこに見る。
諦めない王者から目が離せない。
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