●●さんに野心はないんですか?
いきなり後輩に言われて驚いた。
仕事における野心。
そんなものは数年前にすっかり無くしていた。
そしてその後輩はこうも言った。
●●さん、
本社に帰ろうなんてさせませんよ。
なぜか知らないけど、
その後輩は僕を過大評価しているのだ。
僕がかつて大失敗をして、
今の職場に飛ばされたと言うことも知っているのに。
正直に嬉しかった。
もう会社人生は終わって、
淡々と仕事をしているはずの僕に、
そんな期待をしてくれているなんて。
まぁ、
次々と出向組が本社に引き揚げていると言う状況があるからなのだが。
後輩は、
今の部署で中心になって若手を指導できるのは僕だけだと言う。
はっきり言って、
今の部署は危機的状況が来るのだ。
だから頼られているわけなのだが、
やっぱり嬉しいよな。
本社に戻る気はもうすっかりないんだけど、
今の部署もそれほど長くないと思っていたのに。
そんなこと言われちゃったら、
辞めどきが難しくなるじゃないか。
でも僕はグイグイ引っ張るタイプじゃないんだよな。
昔は先頭に立つのが好きな方だったけどな。
もし矢面に立たされることになったら、
それは頑張らないといけないだろう。
今の職場の若い人は失意でボロボロだった僕に、
新鮮な驚きをくれた。
ある意味彼らのおかげで立ち直れた。
その恩には報いないといけないだろう。
そんなことを考えながら帰りの電車に揺られていた。
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