2019年3月24日日曜日

再生

横山秀夫の新作「ノースライト」が面白かった。

バブルがはじけて仕事がなくなり、

夫婦仲がおかしくなって離婚して、

自堕落な生活をしていた建築士の元に舞い込んだ、

思いもかけぬやりがいのある家の建築。

没頭して完成させるものの、

そこに施主が住んでいないことが判明する。

一見ミステリー仕立てながら、

警察も探偵も出てこず、

ひたすら建築士の視点で物語は進む。

務める弱小事務所が美術館のコンペに参加することになり、

そこにも暗雲が立ち込め、、、

とにかく、

挫折した男が再生して行く様子が心を打った。

とにかく横山秀夫という作家は、

男の心情を描くのがうまいなぁと感じた。

人間も何十年か生きていると、

誰しも挫折もするし悩みながら生きざるを得ない。

そこからどう立ち直るのか。

ググッと引き込まれた。

元々建築やデザインに興味があるせいもあるだろうけど、

ほぼ一気読みしてしまった。

前作「64」から6年。

渾身の小説を仕上げるのには、

それぐらいの歳月が必要なんだな。

興味がある人は是非ご一読を。

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