2019年3月28日木曜日

鈍化

以前乗っていたスカイラインを買って2日目のこと。

嬉しさのあまり夜中に2階の窓を開けて、

家の前のピカピカの新車を眺めようとした。

その瞬間、

あろうことか、

窓の網戸がレールから外れて、

真下の車に向かってヒラヒラと落下した。

その時の心の動きは今も覚えている。

どうか水平に車に覆いかぶさるように落ちてくれ、、、

でも残念なことに、

と言うか最悪なことに網戸は斜めに角からボンネットに当たった。

階段を駆け下りて車を見たら、

ボンネットに数センチの傷がしっかりついていた。

ショック。

すぐにディーラーを呼んで修理したけど、

数万円かかった。

で。

ジムニーくんは今のところ無傷だ。

でもいずれ傷つくことがあるだろう。

その時僕はあの時のようなショックは受けない。

傷ついても数ヶ月もすれば受け入れることが分かっているからだ。

だがそのことは良いことなのだろうか?

大人になるにつれて喜怒哀楽にバリアが張られてしまった。

それはある意味心の安定であり、

大人の落ち着きということなのだろう。

形あるものはいずれ壊れるし、

生きていれば喜びも悲しみも苦しみもある。

でも、

いずれ時が感情を薄れさせる。

それが分かっているから、

何があっても必要以上に心をかき乱されることはない。

ただそれは言い換えれば、

感情の鈍化と紙一重だ。

バリアが張られた感情には、

真の喜怒哀楽は訪れない。

自己防衛反応がいつの間にか自分の感情を鈍化させている。

それは本当に良いことなのだろうか。

これは不可逆的なもので、

もう20代の頃のようなむき出しの感情は現れないのだろうか。

バリア。

埃。

錆。

心を覆ったものは、

もう取り除くことはできないのだろうか。

穏やかな人。

それは褒め言葉なのだろうか。


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