2017年6月10日土曜日

興奮

僕と同じ仕事をかつてしていた作家が、

自分の若い頃のことを書いた小説を読んでいて、

これが当然面白い。

多分、

この仕事をしていない読者は、

何が面白いのかわからないと思う。

あるいは、

最近この仕事を始めた人も、

ピンとこないんだと思う。

30年ほど前の、

僕らの職場の雰囲気が、

本当によく書けていて、

だからピンポイントで僕の心に刺さる。

その中で、

僕らの仕事のストレスは、

大学受験の10倍、

一般事務の50倍だと書いてあった。

本当かどうか知らないけれど、

だからみんな家に帰っても興奮が冷めず、

酒を飲んで寝るんだと。

それもすごいわかる。

今は酒を飲まないけれど、

飲まなきゃ寝られない気持ちはわかる。

多分今は、

飲まずにやってられる程度にしか、

仕事に入り込んでいないのだ。

それでも一応、

仕事はできる。

出来栄えだって、

別に変わらないと思う。

それでも尚、

飲んで仕事して飲んで仕事して、

そういう小説の中の人物の気持ちは良くわかるし、

実に愛おしい。

冷静に考えれば馬鹿な営みだけど、

そういう馬鹿が大勢いた時代が確かにあった。

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