2008年7月16日水曜日

朝。

玄関先の土の上に、
蝉が一匹。

近くに抜け殻と、
そこから出てきたであろう穴が開いている。
羽はうすい黄緑色で、
どうやら羽化したばかりらしい。

しかしよく見ると、
羽が片方しかない。
どうやら、
何かの間違いが起きたようだ。

そっとつまみあげて、
近くの木にとまらせてやろうとしたが、
すぐに地面にポトリ。

しかたない。
好きにすればいい。
蝉は土の上をもぞもぞと動いていた。

夕方。

蝉がいたところを見て驚いた。
仰向けになった蝉は、
蟻に全身を覆われ、
真っ黒になって手足を動かしている。

あまりに可哀そうなので、
拾い上げ、
手で蟻を払い落そうとするが、
数が多すぎて、
埒が明かない。

仕方なく、
バケツの水に漬けて、
ようやく蟻から解放してやり、
自転車の前かごに置いてやった。

翌朝。

蝉は死んでいた。


これは母の体験である。

ぼくは最初、
ふーんふーんと聞いていたが、
蟻に覆われた蝉のあたりで、
「カワイソウニ!」と思わず声に出した。

地中で何年も生きたものの、
ついに、
一度も鳴くことなく死んでしまった蝉。


わが身を重ねたのか。


●じゃず家のセッションで、ピアニストの押領寺さんとその友人の方と立ち話。友人の方がぼくの声を「小林桂に似てますね」とおっしゃるので、自分の声は彼のようにハスキーだったっけと、押領寺さんに尋ねると「郷ひろみに似てるんじゃないですか」と言われた。どちらも身に余る光栄だけど、小林桂と郷ひろみの両方に聞こえる声って???●生まれて初めて自転車を盗まれた(はず)。そう、あの駐輪場から。ショック。

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