カラオケで満点を連発するおばあちゃんがいて、
テレビで紹介していたのだが、
縁側で鼻歌まじりで口ずさんでるっていう感じなのに、
本当に次々満点が出るから驚いた。
どだい、
歌を採点するという行為自体に無理があるわけで、
それも機械的に行うのだから、
そんな「穴」もあるのだろう。
魅力に点数は似合わない。
ある人がその人の主観で魅力を点数化することはできても、
客観的に人や芸術の良し悪しの採点はできない。
そんなことは誰でもわかっているのだけど、
いまの日本人は、
他人の評価にあまりにも振り回されていると、
「かけがえのない人間」(上田紀行著、講談社現代新書)は言う。
この本をぼくなりに解釈すると、
特に若い人は、
良い評価を得ること自体が目的になってしまい、
人間関係において「いかに嫌われないか」に、
最大限の労力を払っているみたいだ。
「暗い」と評価されることは、
彼らが最も避けたいことらしく、
とにかく「明るい」「面白い」
そう思われることに腐心し、
本当に思ってないことでも周囲に合わせようとする。
「KY」という流行語が象徴しているのは、
自分をひた隠しにしてでも周囲に同調し、
良い評価を得ることが目的化してしまった現代そのものだ。
「一人一人がかけがえのない人間」という認識は素晴らしいけど、
だからといってその根拠のない「かけがえのなさ感」を守るために、
あえて深く他人とかかわらい、
一見クールでローリスクな生き方は、
ぼくは根が浅いように思う。
著者は、
自分のたどってきた人生(これが相当なもの)を振り返りながら、
もっと社会と関わり、
愛されるのを待つより愛せ、
そして怒るときには怒れと説く。
自信がついてから行動するのではなく、
自信は行動する中からこそ生まれるものだと。
何か甘い宗教本のように思われるかもしれないが、
そんなんじゃない。
ぼくはこの本を断然勧める。
立ち読みでいいから、
手にしてみて欲しい。
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