2008年10月11日土曜日

作家

小学校低学年の事だから、
母が今のぼくより若かったころ、
ここらの主婦の間で、
ある手芸が流行った。

折り紙を二枚重ねてうまい具合に折ると、
クリスマスにパーンて鳴らすクラッカーのような物ができて、
それを何十も作って糊でくっつけて、
きれいな毬のようにする。

ただそれだけなんだけど、
そのころ母は暇があるとその毬を作っていた。
初めはソフトボールぐらいの大きさだったけど、
次第に大きいのが作りたくなる人情はだれも同じようで、
ついにはメロンぐらいのを作り上げ、
ご丁寧にそれを乗せる座布団まで手縫いする凝りよう。

それはしばらく、
我が家の玄関のげた箱の上に飾られていた。

何でこんなことを思い出したのかというと、
「ニードルフェルト」という手芸があることを、
NHK「おしゃれ工房」で知ったからだ。

フェルトの束を特殊な針でつつくだけで、
メロンパンや、
ショートケーキが出来上がる。

その出来栄えは男の目から見てもかわいらしい。
材料代も高くはなさそうだし、
やってみたくなった。

出演していたのは、
「ニードルフェルト作家」の女性で、
彼女いわく、
もとはスイーツ作りが好きだったけど、
そのニードルフェルトのスイーツ作りを始めてから、
本物を食べることが少なくなり、
7キロやせたんだという。

そんなものかねと思いながら見ていたら、
針を刺すたびに「サクッ、サクッ」という音がする。
これが何とも快感のようで、
あぁその手の感触、
音が夢中にさせるのだろうと想像した。

この番組、
TVをつけてやってたらつい見てしまうことが多い。
それにしても、
いろんな「作家」がいるものだ。
古いネクタイをストールに再生する作家もいたし、
厚紙と布をかわいい小箱に仕上げる作家もいたなぁ。

やってることは単純な工作なのだけど、
手仕事っていいなってぼくの中の子供心をくすぐる。
でもなぁ、
年がら年中フェルトに針刺して、
飽きないのだろうかとも思う。
作家ともなると、
いろんな注文もあって、
「またあれかよ」なんて思いながら、
針刺してるのかな、
それはちょっと怖いな、
子育ての合間になんて言ってたけど、
あの針は危ないぞとか、
どんどん余計な事を考えてしまった。

で、

母の毬は、
なんていう名前だったのだろう?

今でも作ってる作家はいるのかな。


●めでたく巨人V2●世界中で株が暴落している。ということは、99%が大損した分、大儲けした1%がいるのだ●阪神阪急と高島屋が資本提携するそうだ。三菱東京UFJ銀行みたいになってきた。

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