「じゃず家」は、
JR環状線の高架下にある。
天満駅から大阪寄りに歩いて3分ほど。
立ち飲み屋のおばちゃんの視線をくぐりぬけ、
薄暗い高架沿いの道を50メートルほど行くと、
クリスマスツリーに付ける電飾が目に入ってくる。
今日こそは決めるぞ。
軽く歌いながら店の前につくと、
中から漏れてくる演奏やら歌声に奮い立つ。
バイトの男の子に2000円払い、
アイスコーヒーとチーズクラッカーを頼んで2階へ上がる。
2階は煙草が吸えるのだ。
しばらくして名前が呼ばれる。
さぁ出番だ。
譜面と録音機を持って階段を降りる。
楽器の人に譜面を渡しながら、
「よろしくお願いします」とあいさつし、
段取りも手短に説明する。
カウントをとって演奏が始まる。。。
ここには、
昨年暮れから通いだし、
もう30回ほどは来ている。
顔なじみも増えたし、
さすがに「上がる」ということはない。
最初のころに比べれば、
我ながら「まし」になったと思う。
でも、
歌い手にとって、
本番の「罠」はまだまだ沢山ある。
まず、
演奏があるということ。
セッションなんだから当たり前だけど、
バックの音量につられて、
つい声を張り上げてしまう。
自宅やカラオケボックスでの練習のようにうまくいかない場合、
このことに注意しないといけない。
そして,
最大の支えであるマイクにも罠がある。
といっても、
マイク自体の質とか、
PAのことを言いたいんじゃない。
マイクが口の前にあるというだけで、
つい、
首から上に気をとられる。
このことが、
リラックスを阻むのだ。
いくら気をつけていても、
目の前にマイクがあって、
拡大された自分の声を聞いた時に、
生理的に口元に神経がいくのだと思う。
こういう「つい」は、
頭で理解していても、
体が勝手に反応してしまうから怖い。
そして、
本番が終った途端に気付くことが多い。
神様、
もう一回お願いっていう感じだ。
でも、
次もまんまと引っ掛かる。
振り込め詐欺に騙されるお年寄りだって、
きっとこんなようなもんだろう。
分かっちゃいるけど落ちる穴。
失敗に落とし込む「罠」は、
自分の中にある。
●何だかジャズ以前の話で情けないんだけど、これが今日のぼくの収穫です●南北朝時代の日本刀に2500万円の値。「何でも鑑定団」の話です。
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