2008年10月29日水曜日

「じゃず家」は、
JR環状線の高架下にある。
天満駅から大阪寄りに歩いて3分ほど。
立ち飲み屋のおばちゃんの視線をくぐりぬけ、
薄暗い高架沿いの道を50メートルほど行くと、
クリスマスツリーに付ける電飾が目に入ってくる。

今日こそは決めるぞ。

軽く歌いながら店の前につくと、
中から漏れてくる演奏やら歌声に奮い立つ。
バイトの男の子に2000円払い、
アイスコーヒーとチーズクラッカーを頼んで2階へ上がる。
2階は煙草が吸えるのだ。


しばらくして名前が呼ばれる。
さぁ出番だ。
譜面と録音機を持って階段を降りる。

楽器の人に譜面を渡しながら、
「よろしくお願いします」とあいさつし、
段取りも手短に説明する。
カウントをとって演奏が始まる。。。

ここには、
昨年暮れから通いだし、
もう30回ほどは来ている。
顔なじみも増えたし、
さすがに「上がる」ということはない。
最初のころに比べれば、
我ながら「まし」になったと思う。

でも、
歌い手にとって、
本番の「罠」はまだまだ沢山ある。

まず、
演奏があるということ。
セッションなんだから当たり前だけど、
バックの音量につられて、
つい声を張り上げてしまう。
自宅やカラオケボックスでの練習のようにうまくいかない場合、
このことに注意しないといけない。

そして,
最大の支えであるマイクにも罠がある。

といっても、
マイク自体の質とか、
PAのことを言いたいんじゃない。
マイクが口の前にあるというだけで、
つい、
首から上に気をとられる。
このことが、
リラックスを阻むのだ。

いくら気をつけていても、
目の前にマイクがあって、
拡大された自分の声を聞いた時に、
生理的に口元に神経がいくのだと思う。

こういう「つい」は、
頭で理解していても、
体が勝手に反応してしまうから怖い。

そして、
本番が終った途端に気付くことが多い。

神様、
もう一回お願いっていう感じだ。

でも、
次もまんまと引っ掛かる。

振り込め詐欺に騙されるお年寄りだって、
きっとこんなようなもんだろう。

分かっちゃいるけど落ちる穴。
失敗に落とし込む「罠」は、
自分の中にある。


●何だかジャズ以前の話で情けないんだけど、これが今日のぼくの収穫です●南北朝時代の日本刀に2500万円の値。「何でも鑑定団」の話です。

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