ギリシャでは、
掌を相手に向けて出すと、
「おまえなんかあっち行け」という、
ひどい侮蔑の意味になると、
NHK児玉トラベルでやっていた。
それを見て、
ぼくが子どものころ、
掌を模したプラスチック板に針金と吸盤が付いた、
カーアクセサリーが流行ったことを思い出した。
車の後ろの窓に付けると、
揺れに合わせて掌が左右に振れ、
後続車からは、
「バイバイ」とも
「はーい」ともとれ、
いずれにせよ面白いっていうんで、
売れに売れた(と思う)。
我が家には当時、
真白なカローラがあって、
ぼくはその掌をどうしても付けたくて、
母にねだって買ってもらった。
ところが、
まさにその夜、
会社から帰宅した父が、
まったく同じ物を買ってきた。
あまり見事にかぶったので、
家族で大笑いした。
これなどは流行りものだから、
ありがちな話ではあるが、
例えばセッションで、
ある日はドラマーが多かったり、
別の日はピアニストが多かったりと、
見事にかぶるというか、
片寄ることがある。
もちろん理由がつく場合もある。
例えば有名なプロギタリストが見える日には、
ギターキッズが多く、
高槻ジャズストリート直後には、
ハイになったプロが多く集まった。
武庫之荘のMクアトロは、
絶滅危惧種の男性ボーカルが多く集まるので有名だ。
しかしそういう事は稀で、
ひょっとしたら、
その日の月の満ち欠けによって、
ドラムが叩きたくなったり、
サックスを吹きたくなったりするんじゃなかろうか、
などと思いたくなるほど、
曜日が同じでも偏る。
ちなみに、
偏りが一番少ないのはボーカル。
そして、
いつも少ないのはベースだ。
そういえば、
女性のギタリストだけにはまだ、
お目にかかったことがない。
不思議なもんだ。
ちなみにかぶった掌がどうなったのかは、
記憶にない。
●三宮グレートブルーのセッションに久しぶりに行った。大変な盛況で、1曲だけ歌えた。反応は正直、あまり良くなかった。でもぼくの自信は揺らがない。この方向で間違いないと、確信している●40年以上も乱雑に生き散らかして、残りわずかな消しゴムみたにいなぼくに、会いたいと思ってくれる人がいる。そういう人がいる限り、ぼくは前を向ける。
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