2008年10月19日日曜日

記憶術

「リンカーンはアメリカでコーヒー三杯」


この前のメールを書いた後、
下に降りていくと、
母がいきなり大声を上げる。


「リンカーンはアメリカでコーヒー三杯」


「何それ」


「ウツ」


「はぁ」


「ウツっていう字はこう書くねん」


「…………」



広辞苑に掲載されている漢字で、
最も画数の多い字は「鬱」で27画だ。
ぼくは小学生の時にその事を知ったが、
これまで一度も書いた事はない。
ちなみに広辞苑の最後に出てくる項目は「んとす」のはず。

母が言っているのは、
「鬱」という字の書き方だった。

「リンカーン」つまり「林」の間に「缶」を書き、
「は」つまりワ冠をその下に、
さらに「アメリカ」つまり米を斜めにした※を、
コを90度傾けたやつで受けて、
ヒはそのまま、
右横に「三杯」としてひげ三本。
これで鬱の完成というわけだ。
テレビで紹介していたらしい。


「これで忘れへんわ」と母。


「そうやな、俺もや」



でも、
できるならこんな字、
書かずに暮らしたいよね。


母は笑ってうなずいた。


●明日は早起きして小旅行ですので、これにて御免。

0 件のコメント:

コメントを投稿

遺志

30日は親父の13回忌だ。 あーそんなになるのか、 と言うのが率直な感想。 親父が亡くなる直前、 僕は酒を辞めた。 復職して最初のボーナスが出た日、 入院していた病院に行って報告した。 もう親父はかなり弱っていて、 ほとんど喋れなかった。 でも...