新しくぼくの部署に来た人に、
仕事を教えるという役目が回ってきた。
この部署に来て11年目。
何かの間違いに戸惑う。
大体においてぼくは、
他人にモノなど教えたことがない。
大学生のころ、
家庭教師というのは憧れのバイトだったが、
6年間一度もそんな機会には恵まれなかった。
それは単なる巡り合わせというよりは、
ぼくがモノを教えるほど、
何かに精通したことがないからだと思う。
反面教師なら自信満々なのだが、、、
右も左もわからぬ11年前、
今の仕事を始めたころ、
ぼくはどんな気持ちだったのか。
つらつら思い出しながら、
かつ、
あのころこんな風に教わっていたらよかったなぁと、
今更ながら思われることを加味して、
夕方から深夜まで、
付きっきりで「指導」した。
とはいえ、
元々職人的性格の強い職種だけに、
いわゆる「正解」も「理論」もない。
極端な話、
100人いれば100通りのやり方があり、
そのどれもが「あり」である。
要は結果次第。
生真面目なヤツがよいわけでもなく、
チャランポランだからといって、
必ずしも悪いわけでもない。
理屈で説明できる部分はごく限られていて、
ほとんどは結局身を持って覚えるしかない。
そして、
仕事にはその人のすべてが現れる。
恐ろしいほどに。
さて、
ぼくが発した言葉の何パーセントが通じるのやら?
たぶん二度とこんな役目はぼくには来ないと思いながら、
いつもより饒舌な自分に気づく。
あ、
おれって聖職者は絶対無理だけど、
実は教えたがりなんだ。
そんな自分に気付いた。
それと、
今の若い人は、
ぼくが若いころより、
ずっと優秀だということも。
Fear is often worse than the danger itself.
若い「生徒」の行く末が、
光にあふれ、
安泰であることを祈りつつ。
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