2008年9月4日木曜日

語らず

高校の同級生が、
クラスメートの前で、
「ぼくは意志が弱いので、不言実行ではなく有言実行です」と言って、
難関大学の合格を目指すと宣言した。
確か授業で、
好きな言葉を一人ずつ発表していたのだと思う。

彼はそれから、
部活動にも入らず、
Z会という通信教育に熱を入れていたはずだ。
受験など、
そのころのぼくの視界にはなく、
休み時間も勉強している彼を見ながら、
いささか呆れ、
しかし、
実は自分はバスに乗り遅れているのではあるまいか、
などと不安に襲われもした。

大麻汚染に揺れる角界の北の湖理事長。
突然辞任を発表し、
「あなたとは違う」と言い捨てた福田首相。
いずれも、
世間が大騒ぎする中、
黙ったままだ。

これはただ、
無言実行なだけで、
そこに美徳や決意はうかがえない。
何かに脅えているだけだ。

同級生の彼が、
その後どうなったのか、
ぼくは何十年もの間、
関心を持ったことすらなかった。

ただ、
それが最善の策であるかのごとく、
無言を貫く首相や理事長を見ていて、
ふと、
思い出された。

沈黙は金。
雄弁は銀。

確かにそうだと思う。

だが、
語るべき時に語らないのは、
銅ですらない。


●室伏が繰り上げ銅になるとか。2大会連続の繰り上げメダル。やりきれないだろうなぁ●ついに、エアコンがいらない夜が訪れたようだ。

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