ふいに空き時間ができて、
それなら「おくりびと」を見に行こうと、
勘を頼りに映画館に飛び込んだら、
そこでは「おくりびと」はやっておらず、
代わりに「少年メリケンサック」を見た。
この映画が監督2作目だという宮藤官九郎という人を、
ぼくは全然といってよいくらい知らず、
カラオケボックスで音を消した画面で見かけた印象は、
何かフニャけた野郎だというものだったが、
実は超有名な脚本家だった。
主演の宮崎あおいがトップランナーに出ていたのを見ていたから、
それなりに期待していた作品だ。
「パンクロック」が全盛だった1980年代に撮られた映像を、
現在進行形だと勘違いした音楽事務所のOLが、
実際には50歳ぐらいになってるおっさん達を連れて全国ツアーするはめに。
「少年メリケンサック」はそのパンクバンドの名前。
登場人物たちの人間関係や筋立てが、
回顧シーンなんかを混ぜて丁寧に描かれているので、
分かりやすいといえばそうなのだけど、
説明臭いという人もいるだろう。
脚本がうまいという言い方もあるけど、
やっぱり要素を詰め込み過ぎたように思える。
というか、
手際がいいから詰め込めちゃったっていう感じ。
たぶん この映画は もう少し スカスカな方が いいと思う。
事故で体がマヒしちゃったボーカルがいつの間にか元気になったり、
切れ痔なはずのドラマーがガタガタ道を走る車の中で平然としていたり、
「何で?」という場面も多かったけど笑って許そう。
ただ、
佐藤浩一が元パンクロッカーというのだけは最後まで無理を感じた。
でもそういうのを全部ひっくるめても、
宮崎あおいの元気が気持ちよい。
ちょうど「篤姫」と撮影時期が重なっていたらしく、
まるでNHKでのうっぷんを晴らしているかのようだ。
アマアマのOLがおっさんの魅力に気づくという、
ありがちな設定ながら、
本当に表情も体も表現力が豊かで、
ほれぼれした125分だった。
あと、
ピエール瀧の存在感が際立っていた。
●元町でペンギンに会い、それからカラオケボックスと映画館と珉珉とドトールをはしごしてから、三宮Midnight Sunで鍋島直昶(vib)星山啓一(p)浦田和史(b)西田あつ子(vo)を堪能。2曲歌わせていただけた。勉強になりました。
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