2009年2月28日土曜日

溌剌

ふいに空き時間ができて、
それなら「おくりびと」を見に行こうと、
勘を頼りに映画館に飛び込んだら、
そこでは「おくりびと」はやっておらず、
代わりに「少年メリケンサック」を見た。

この映画が監督2作目だという宮藤官九郎という人を、
ぼくは全然といってよいくらい知らず、
カラオケボックスで音を消した画面で見かけた印象は、
何かフニャけた野郎だというものだったが、
実は超有名な脚本家だった。
主演の宮崎あおいがトップランナーに出ていたのを見ていたから、
それなりに期待していた作品だ。



「パンクロック」が全盛だった1980年代に撮られた映像を、
現在進行形だと勘違いした音楽事務所のOLが、
実際には50歳ぐらいになってるおっさん達を連れて全国ツアーするはめに。
「少年メリケンサック」はそのパンクバンドの名前。

登場人物たちの人間関係や筋立てが、
回顧シーンなんかを混ぜて丁寧に描かれているので、
分かりやすいといえばそうなのだけど、
説明臭いという人もいるだろう。
脚本がうまいという言い方もあるけど、
やっぱり要素を詰め込み過ぎたように思える。
というか、
手際がいいから詰め込めちゃったっていう感じ。



たぶん この映画は もう少し スカスカな方が いいと思う。



事故で体がマヒしちゃったボーカルがいつの間にか元気になったり、
切れ痔なはずのドラマーがガタガタ道を走る車の中で平然としていたり、
「何で?」という場面も多かったけど笑って許そう。
ただ、
佐藤浩一が元パンクロッカーというのだけは最後まで無理を感じた。



でもそういうのを全部ひっくるめても、
宮崎あおいの元気が気持ちよい。
ちょうど「篤姫」と撮影時期が重なっていたらしく、
まるでNHKでのうっぷんを晴らしているかのようだ。

アマアマのOLがおっさんの魅力に気づくという、
ありがちな設定ながら、
本当に表情も体も表現力が豊かで、
ほれぼれした125分だった。



あと、
ピエール瀧の存在感が際立っていた。


●元町でペンギンに会い、それからカラオケボックスと映画館と珉珉とドトールをはしごしてから、三宮Midnight Sunで鍋島直昶(vib)星山啓一(p)浦田和史(b)西田あつ子(vo)を堪能。2曲歌わせていただけた。勉強になりました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

遺志

30日は親父の13回忌だ。 あーそんなになるのか、 と言うのが率直な感想。 親父が亡くなる直前、 僕は酒を辞めた。 復職して最初のボーナスが出た日、 入院していた病院に行って報告した。 もう親父はかなり弱っていて、 ほとんど喋れなかった。 でも...