母が読書していて、
思わずのけぞった。
だって本当にこの人、
読書しないんだもの。
確か前に本を読んでいる姿を見たのは、
「ホームレス中学生」だった。
その本はルクエを使った和食のレシピ本で、
その名も「和レシピ」。
ルクエと一緒に贈ったレシピ本は、
もう制覇してしまったようだ。
大したやる気である。
やる気といえば、
長友である。
インテルで堂々とプレーしている姿を見て、
すっかり感心してしまった。
無名だった彼が、
明治大学の学生からFC東京に入団したのは2008年、
ほんの3年前のことだ。
それから日本代表になって、
W杯で活躍してセリエAのチェゼーナに移籍したのは2010年。
アジア杯ではVゴールをアシストし、
あっという間に名門中の名門インテル移籍が決まった。
そして今日の初出場。
日本で無名だった大学生が、
たった3年で世界屈指のクラブチームでプレーしてるのだから、
その進化速度たるや、
ピッチの左サイドを駆け上がる、
彼のプレースタイルさながら、
まるで韋駄天だ。
音楽とか絵画とか、
芸術分野ならわかるんだけど、
スポーツの世界では極めて珍しい。
彼の成功が日本人に与える自信は計り知れない。
サッカーだから、
身長が低いハンデは、
他のスポーツに比べ少ないとは思うけど、
170センチっていうのは、
ディフェンダーとしては破格に低い。
じゃあ彼が天才なのかというと、
決してそうではないことは、
経歴が証明している。
彼は天才ではなく明らかに努力の人だ。
鍛えあげた体でピッチを走りまくり、
延長戦になっても、
ついさっき投入された控え選手のように、
元気はつらつ動き回るタフさが武器だ。
特に「体幹」って言葉は、
長友の活躍とともに、
急速に広まったように思う。
しかし、
中田英のような自信家でも、
本田圭のようなビッグマウスでもなく、
どちらかといえば、
控えめ黙々典型的日本人タイプ。
要するに、
どこにでもいそうなサッカー兄ちゃんなのである。
でも、
ここまでの成功を目の当たりにすると、
本当に彼は「黙々努力だけの人なのか」との疑問が沸いてくる。
彼が努力をしていることは間違いないけど、
彼ぐらい努力している人は、
日本だけ探しても、
ほかにいくらでもいるだろうに。
体幹鍛えりゃインテルに入れるわけじゃない。
ならばやはり彼もまた、
何かを「持っている」のだろうか?
母の料理も、
長友のプレーも、
今後が楽しみだ。
●かなり強引な落ちだ。
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