朝日と読売の日曜日の書評欄で、
スティーブ・ジョブズの伝記が、
好意的に取り上げられていた。
他紙もかもしれないけれど。
ぼくはまだⅠを終えてⅡを読み始めたとこ。
それでも相当に面白いと断言できる。
ずっとアップル信者だった人には、
既知のことが多いかもしれないけれど、
イメージやいくつかの「名言」でしか彼を知らなかったぼくには、
十分刺激的だ。
何より翻訳が日本語としてこなれていて、
文字通りスラスラ読める。
この伝記の特徴は2点。
本人が全面的に協力していること。
そして、
相反するようだが、
本の内容について本人はノーチェックだったということだ。
生前に自分の伝記の執筆依頼をしていたというあたりは、
さすがジョブズと思うけど、
出来上がりをチェックしないとは、
本当に不思議。
筆者を信頼している証ともいえるけど、
あれほど製品の出来映えにこだわった人にしては、
信じられないような丸投げぶりだ。
内容は、
以上のようなことを思わせるほどの、
彼の偏執狂(?)ぶりが満載だ。
思うに、
伝記になるような偉人って、
誰しも彼のような部分があったのではないかな。
それが時が流れるうちに、
いいところばかりクローズアップされ、
本人に都合の悪い部分は消されていったのではあるまいか。
どんな偉人だって、
カッコいい側面だけではなく、
人を踏みつけにしたり、
困らせ泣かせたり、
「黒い」側面もあったに違いない。
でなければきっと、
世界を変えるほどの影響力は、
持ち得ないのだろう。
そういう意味で、
考えうる最高の鮮度で、
この伝記が出版されたことは、
本当に貴重なことだ。
丸ごとの自分を知ってくれ。
それがジョブズの最後のメッセージだったんだと思う。
●そして同時に、ぼくは絶対こんな風には生きられないと、少しの失望も味わっている。