2011年11月7日月曜日

伝記

朝日と読売の日曜日の書評欄で、
スティーブ・ジョブズの伝記が、
好意的に取り上げられていた。

他紙もかもしれないけれど。

ぼくはまだⅠを終えてⅡを読み始めたとこ。

それでも相当に面白いと断言できる。
ずっとアップル信者だった人には、
既知のことが多いかもしれないけれど、
イメージやいくつかの「名言」でしか彼を知らなかったぼくには、
十分刺激的だ。

何より翻訳が日本語としてこなれていて、
文字通りスラスラ読める。

この伝記の特徴は2点。

本人が全面的に協力していること。

そして、
相反するようだが、
本の内容について本人はノーチェックだったということだ。

生前に自分の伝記の執筆依頼をしていたというあたりは、
さすがジョブズと思うけど、
出来上がりをチェックしないとは、
本当に不思議。

筆者を信頼している証ともいえるけど、
あれほど製品の出来映えにこだわった人にしては、
信じられないような丸投げぶりだ。

内容は、
以上のようなことを思わせるほどの、
彼の偏執狂(?)ぶりが満載だ。

思うに、
伝記になるような偉人って、
誰しも彼のような部分があったのではないかな。

それが時が流れるうちに、
いいところばかりクローズアップされ、
本人に都合の悪い部分は消されていったのではあるまいか。

どんな偉人だって、
カッコいい側面だけではなく、
人を踏みつけにしたり、
困らせ泣かせたり、
「黒い」側面もあったに違いない。

でなければきっと、
世界を変えるほどの影響力は、
持ち得ないのだろう。

そういう意味で、
考えうる最高の鮮度で、
この伝記が出版されたことは、
本当に貴重なことだ。

丸ごとの自分を知ってくれ。

それがジョブズの最後のメッセージだったんだと思う。

●そして同時に、ぼくは絶対こんな風には生きられないと、少しの失望も味わっている。



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