2009年9月5日土曜日
目的
週末の渋谷駅周辺はすごい人ゴミだった。
スクランブル交差点は青になる度に、
恐らく数千単位の人が四方から無秩序に交じり合いながら、
それでいて大過なくそれぞれの人が行き交い、
それぞれの目的地へと向かっていく。
この光景はいつもながら壮観である。
しかし、
人や物や情報が間断なく行き交うこの街は、
ただじっとしているには実に耐え難い場所でもある。
人との待ち合わせの時間まで、
わずか30分余りをやりすごすのに、
高架下の喫茶店に避難した。
明確な目的を持たず漂う人間に、
東京という街が見せるキツさは、
ぼくが学生だったころと何も変わらないなと思う。
人間の「動的欲求」というものを可視化するなら、
ここほどふさわしい場所はないと思う。
「巡礼」(橋本治著)はいわゆる「ゴミ屋敷」に住む独居老人が、
いかにしてそのようになったのかを描く。
昭和という時代を生真面目に生きながら、
いつのまにか社会のゴミ同然となった男が、
かつての記憶が残る家に、
他人にはゴミとしか映らぬ物を溜め込む。
それでは何もどうにもならないことは、
百も承知しながら。
時代に取り残された男の、
哀れな末路といえばそれまでなのだが、
ぼくには他人事とは思えなかった。
明日は我が家へ帰ろう。
それが今のぼくの目的だ。
●暇な人はウォーリーを探してみて下さい。
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