2009年9月12日土曜日

風潮

寝る時に枕元で、
小林秀雄の講演のCDをかけることが多い。

何度聞いても飽きない点は、
古今亭志ん生のCDに通じる点がある。
(といいながら寝てしまうのだが)

印象的な言葉は数々あるのだが、
最近一番気にいっているのは、
科学万能主義を「ここ300年ほどの風潮」だと、
言いきっている部分だ。


彼は「経験は主観でも客観でもない」と言う。
経験は経験だと。
科学的かそうでないかという物差しで計って、
その経験が正しいか間違いかなどと決める筋合いのものではないのだと。

科学とは計量可能なものだけを扱う。
だから計量不可能なものは迷信と退ける。
そのことをはっきり認識することが大切だと。

今や科学は人間の心をも、
脳という計量可能なものに置き換え、
脳の科学的変化を突きつめれば、
ついには心が分かると仮定しているが、
それは誤りだとも。

つまり、
彼は心は脳にはないと言っているのだ。


久々に駅前のTUTAYAに行った。
「チョコレートファイター」を観たかったからなのだが、
たった1枚の在庫は借りられていたので、
仕方なく「ミラーズ」(アレクサンドル・アジャ監督)という、
ホラーを選んでしまった。

ぼくはホラーは基本的に観ないので、
この作品がホラーとしてどの程度の出来栄えかは分からない。
ストーリーはいささか破たんしているようで、
かつ最後の方の展開は端折り過ぎのようにも思う。
でも、
2度ほど出てくる惨劇シーンは、
さすがに背筋がゾワゾワした。


鏡に映った自分が、
まるで自分以外のもう一人の人物のように感じ、
鏡の向こうにもう一つ別の世界があるように感じたことは、
そういえばぼくにも子どものころあるし、
だれでもそうかもしれない。

そんな人類共通(?)の神秘性に裏打ちされているだけに、
科学的精神は封印して最後まで観た。


●今週はなにかと忙しく、元町へは行けそうにない。寂しいのだけれど●志ん生のCD第2巻を注文した。

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