新潟県大千市大曲で毎年8月に開かれる花火大会は、
正式には「大曲全国花火競技大会」といい、
全国各地で開かれる数多の花火大会とは一線を画する。
一般的な花火大会がアイスショーだとすると、
こちらは世界フィギュアとか五輪みたいなものだ。
どちらが楽しいかといえば、
ショーの方かもしれないが、
全国選りすぐりの花火師たちが、
「内閣総理大臣賞」を目指して揚げる真剣勝負には、
それなりの趣がある。
NHKの地元局が制作した番組を、
夜中に再放送していた。
しかし、
テレビで見る花火は駄目だ。
燦然と咲き一瞬にして散る花の美は、
漆黒の夜空があってこそ映える。
残念ながらうちのテレビではその漆黒が出ない。
この目で見たのはもう4年も前のこと。
懐かしい思い出だけど、
あれからぼくの人生は大きく曲がっていった。
一寸先も見えない漆黒の闇の中を。
どんな人の人生も、
大なり小なり蛇行しながら進むのだと思うが、
あれだけ大きく舵を切ったことがないぼくには、
それが恐怖だと感じる間もなく、
今まできたように思う。
少し周囲は薄明るくなってきたようだけど、
それは目が慣れてきたのかもしれないし、
あるいは、
見えないことに慣れてきただけかもしれない。
ゴーギャンの傑作、
「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」
この大作が今、
東京国立近代美術館にあるということをぼくは忘れていた。
東京に行ったぼくの、
すぐそばまで来てくれていたのに。
絵画も花火と同じ。
実物の99%は複製では失われるのに。
「レオン(完全版)」(リュック・ベッソ監督)。
終盤、
レオンと12歳の少女マチルダとのやりとり。
君に会ってからすべてが変わった。
だから少し自分だけの時間が欲しい。
君ももう少し大人に。。。
もう大人よ。
あとは年を取るだけ。
俺は逆で年だけは取ったが、
これから大人に。。。
レオンは自分が何者か実感した瞬間、
あの世へ行ってしまった。
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