2009年9月26日土曜日

実感

新潟県大千市大曲で毎年8月に開かれる花火大会は、
正式には「大曲全国花火競技大会」といい、
全国各地で開かれる数多の花火大会とは一線を画する。

一般的な花火大会がアイスショーだとすると、
こちらは世界フィギュアとか五輪みたいなものだ。

どちらが楽しいかといえば、
ショーの方かもしれないが、
全国選りすぐりの花火師たちが、
「内閣総理大臣賞」を目指して揚げる真剣勝負には、
それなりの趣がある。


NHKの地元局が制作した番組を、
夜中に再放送していた。

しかし、
テレビで見る花火は駄目だ。
燦然と咲き一瞬にして散る花の美は、
漆黒の夜空があってこそ映える。

残念ながらうちのテレビではその漆黒が出ない。

この目で見たのはもう4年も前のこと。

懐かしい思い出だけど、
あれからぼくの人生は大きく曲がっていった。
一寸先も見えない漆黒の闇の中を。


どんな人の人生も、
大なり小なり蛇行しながら進むのだと思うが、
あれだけ大きく舵を切ったことがないぼくには、
それが恐怖だと感じる間もなく、
今まできたように思う。

少し周囲は薄明るくなってきたようだけど、
それは目が慣れてきたのかもしれないし、
あるいは、
見えないことに慣れてきただけかもしれない。







ゴーギャンの傑作、
「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」

この大作が今、
東京国立近代美術館にあるということをぼくは忘れていた。
東京に行ったぼくの、
すぐそばまで来てくれていたのに。

絵画も花火と同じ。
実物の99%は複製では失われるのに。


「レオン(完全版)」(リュック・ベッソ監督)。
終盤、
レオンと12歳の少女マチルダとのやりとり。

君に会ってからすべてが変わった。
だから少し自分だけの時間が欲しい。
君ももう少し大人に。。。

もう大人よ。
あとは年を取るだけ。

俺は逆で年だけは取ったが、
これから大人に。。。



レオンは自分が何者か実感した瞬間、
あの世へ行ってしまった。

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