2009年9月19日土曜日

綺麗

「センビキヤ‼」と声がするので振り向くと、
ペンギンさんが立っていた。

ぼくが本に線を引きながら読むので、
ペンギンさんはぼくを「線引き屋」と呼ぶ。

久し振りに会うのだが、
相変わらずニコニコしている。

しばし語り合っているうちに、
ぼくは、
かねてからの疑問をぶつけてみた。


モスバーガーを綺麗に食べれますか?


ここで「綺麗に」というのは、
ペロリと平らげるという意味ではなく、
口や手を汚さずに、
ということだ。

というのは、
ぼくはモスバーガーを食べる度に、
口の周りをソースでベチャベチャにし、
紙ナプキンを十枚単位で使い、
最後には残ったソースを、
あの包み紙を破って舐めこするような、
そんな汚いやり方しかできないからだ。


ペンギンさんはしばし考え、
「あの人ならできるかも」と答えた。

「あの人」というのは、
ぼくたちの間で半ば〝伝説化〟している、
とある女性のことだ。

ペンギンさん曰く、
「あの人」は皆で食事しても、
自分たちはガツガツ食べているのに、
一人小鳥が餌をついばむがごとく上品に食べ物を口に運び、
自分たちの胃はまだ半分も満たされていないのに、
「ごちそうさま」と一人はしを置く、
そんな人だそうだ。


言われてみれば、
「あの人」ならモスバーガーでも、
楽しげに会話しながらさりげなく、
本当に綺麗に食べてしまいそうだ。

ぼくとペンギンさんはすっかり意気投合し、
おおいに笑った。
最近にないほど笑った。

楽しいひと時だった。


でも本当は、
「あの人」だってモスバーガーは、
口をベチャベチャにして食べるはずだ。

きっとそうさ。

●ということで、モスバーガーを食べているカップルは、相当に関係が深いに違いないということに。ネタにしてしまった人たち、すいません。今日はこれしかないと、昼間から決めてました。

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