「センビキヤ‼」と声がするので振り向くと、
ペンギンさんが立っていた。
ぼくが本に線を引きながら読むので、
ペンギンさんはぼくを「線引き屋」と呼ぶ。
久し振りに会うのだが、
相変わらずニコニコしている。
しばし語り合っているうちに、
ぼくは、
かねてからの疑問をぶつけてみた。
モスバーガーを綺麗に食べれますか?
ここで「綺麗に」というのは、
ペロリと平らげるという意味ではなく、
口や手を汚さずに、
ということだ。
というのは、
ぼくはモスバーガーを食べる度に、
口の周りをソースでベチャベチャにし、
紙ナプキンを十枚単位で使い、
最後には残ったソースを、
あの包み紙を破って舐めこするような、
そんな汚いやり方しかできないからだ。
ペンギンさんはしばし考え、
「あの人ならできるかも」と答えた。
「あの人」というのは、
ぼくたちの間で半ば〝伝説化〟している、
とある女性のことだ。
ペンギンさん曰く、
「あの人」は皆で食事しても、
自分たちはガツガツ食べているのに、
一人小鳥が餌をついばむがごとく上品に食べ物を口に運び、
自分たちの胃はまだ半分も満たされていないのに、
「ごちそうさま」と一人はしを置く、
そんな人だそうだ。
言われてみれば、
「あの人」ならモスバーガーでも、
楽しげに会話しながらさりげなく、
本当に綺麗に食べてしまいそうだ。
ぼくとペンギンさんはすっかり意気投合し、
おおいに笑った。
最近にないほど笑った。
楽しいひと時だった。
でも本当は、
「あの人」だってモスバーガーは、
口をベチャベチャにして食べるはずだ。
きっとそうさ。
●ということで、モスバーガーを食べているカップルは、相当に関係が深いに違いないということに。ネタにしてしまった人たち、すいません。今日はこれしかないと、昼間から決めてました。
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