2012年2月21日火曜日

復帰

昨年末の紅白で、
絢香が久々に歌っているのを見て、
「あれっ」と思ったのだけど、
新曲「はじまりのうた」をDLして聞いてみて、
その違和感の正体が何となくわかったような気がした。

休養前と歌のうまさは変わっていない。

きっとずっと曲作りのかたわら、
歌のトレーニングも欠かしていなかったんだろう。

でも「はじまりのうた」全般から感じられたのは、
ある種の「充足感」のようなもの。

それは、
「辛いときあなたの存在がこんなに大切だと知った」
と歌う時にどうしても、
水嶋ヒロの顔が浮かぶというようなことではなくて、
病気の治療も順調で、
旦那さんともうまく行っている、
精神的落ち着きのようなものだ。

彼女が休養する前の歌は、
もっと「切羽詰まった」感があって、
それが魅力だったけど、
そこんとこが消えた、
あるいは薄れた気がする。

マイナーキーで、
ドラマチックに盛り上がる、
とてもいい作品だけど、
そこに以前ほど「鳥肌が立つ」って感じでないのは、
彼女が変わったのか、
ぼくが変わったのか?

幸せな人の歌は、
それはそれで気持ちがいいけれど、
歌手というのはどこか、
他人の痛みを引き受ける身代わりというか、
何がしかの欠落をかかえている存在であった方が、
ぼくは好きだな。

非常に乱暴に言えば、
幸せな人の歌は、
不幸な人の心に届きにくい。

上手いことと、
感動的であることは違うと、
あらためて思う次第。

断っておくけど、
ぼくは決して彼女に不幸せになって欲しいわけではないですよ。

でも満たされた彼女の今の歌では、
響かなくなった世界があるとも思う。

って単なるひがみでしょうけど(笑)

人は変わるし、
いつまでも過去の姿を求めても詮無いこと。

その分、
別の世界を響かせてくれるだろうし。

●第一、こんなに長々書いていること自体、彼女に魅力がある証拠でもある。

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