2012年2月10日金曜日

正論

先日のライブのMCで、
鼻洗いするようになってから、
10年近く風邪をひいていないと言ったら、
同級生のドクターGからクレームがついた。

ドクター曰く、
ぼくが風邪をひかなくなったのは、
年取った証拠なのだそうな。

つまり、
もうあらかたの風邪をひいてしまって、
免疫が出来たからだというのである。

ドクターは鼻洗いの効用はある程度認めつつ、
そんなことより手洗いの方がはるかに予防効果があると力説。

マスクも、
風邪をひいた人が他人にうつさない効果はあるけど、
予防的にはあんまり意味がないとか。

ドクターの言うことだから、
科学的には正しいのかもしれないが、
ぼく自身の体験もまた事実である。

「非科学的」といえば、
何やら「嘘」とか「ごまかし」的なニュアンスがあるけれど、
要は科学で説明不能だということに過ぎない。

最先端の科学で「非科学的」というような出来事が、
実際に起きるということを、
ぼくらは3.11で嫌というほど味わった。

科学は凄い。
でも、
そんなもんだ。

このあいだフト思ったのだけれど、
世の中の事実っていうのは、
いわば「あ」とか「か」とか、
文字みたいなものではないか。

ある一定量の文字(=事実)があるとして、
その文字を使って意味のある文章が綴れたとしても、
その文章と正反対の意味を持つ文章だって、
綴れるかもしれない。

ある出来事がおきて、
その因果関係をまことしやかに述べる人は一杯いるけれど、
それは、
その事実からそういう物語を作ることが可能だ、
という程度の意味でしかなくて、
全然別の因果関係の物語だって作れるかもしれない。

最後から二番目の恋で、
主人公の中井貴一演じる公務員の発言が、
いちいち正論だけど、
どうでもいいというのは、
おそらくそういうことだ。

大事なのは、
理論や定説や常識なんかじゃなくて、
今そこで起きている個別の経験なのである。

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