福島原発事故以来ぼくは一貫して、
原発の新設はダメだけど、
既存のものの再開は止むを得ないと言ってきた。
それは、
国内54基の原発をただちに全部止めるのは、
電力需給の観点からあまりに非現実的に思えたからだ。
ところがどうだろう。
関西電力管内の原発はすべて止まっているが、
何とかなっているではないか。
少なくとも日常生活レベルでは何の不都合も感じない。
またしても関電にだまされた。
だれもがそう思うよな。
にもかかわらず関電は、
何かに取り憑かれたかのように、
大飯原発の運転再開を推し進める。
おかしいじゃないか。
考えてもみようよ。
あの人類史上に汚点を残したあの事故から、
まだ一年もたっていないのである。
事故は収束していると政府は言うが、
メルトダウンした炉心の状況すら把握できていない。
当然のことながら、
事故の詳細なメカニズムも明らかになっていない。
例えば、
スペースシャトルは二度の死亡事故を起こしたけど、
次の飛行までそれぞれ二年以上の歳月をかけ、
原因を徹底調査し再発防止策を講じた。
最低でもそれぐらいはかかるよな。
逆の見方をすれば、
それだけの時間をかけても事故は二度起きたのだ。
ストレステストをして、
IAEAもお墨付きをくれたというが、
原子力保安院も含め、
いうなれば「あっち側」の人たちだ。
第一ストレステストといっても、
すべて机上の計算だ。
たとえば巨大地震に見まわれたとき、
原発の内部を複雑にはい回る配管がどうなるか、
何分の一かの模型で耐震実験してみるといい。
さらにずっと気になってるのは、
原発に代わって運転している火力発電所が、
やたらと故障すること。
電力側は「だから原発が必要なんです」って言いたいのだろうけど、
ぼくから言わせれば、
火力でさえもまともに運転できないのに、
原発ならちゃんとできるわけがない、
ということになる。
世間の信頼を得るには、
そういうところから始めないとね。
つまり、
原発の安全性への信頼は、
ゼロに落ちたのですよ。
顔を洗って出直してこいってことだよ。
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