他人の夢を背負うのは、
大変だろうな。
甲子園では球児が、
北京では五輪代表が、
会ったこともない人の分まで、
たくさんの夢を背負って、
戦っている。
夢の数が多ければ多いほど、
自分一人では出せない力を、
生んでくれもするだろう。
その重みに耐えきれず、
自壊してしまうこともあるだろう。
いずれにせよ、
戦いの場に立ててこそである。
4年分の、
自分の夢だけなら、
野口みずきは、
這ってでもマラソンに出ただろう。
たとえズタズタになって、
途中棄権するようなことになっても、
夢を追った結果だと、
悔いはなかったはずだ。
肩に乗った数千万人分の夢。
それがいとおしいからこそ、
強行出場のようなまねはできなかった。
そして引き換えに、
自分の夢もあきらめた。
輝ける人の宿命とはいえ、
あまりに残酷だ。
●深夜、BSなどでやっている地味な競技をボーっと見ているのもいい。フェンシングや射撃やカヌー。日本人選手の結果はどうであれ、一流アスリートの懸命な姿は美しい。
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