2008年8月31日日曜日

結末

小説や映画で、
途中は鮮明に憶えているのに、
結末が思い出せない作品がある。

連載漫画や連ドラでは特に多くて、
要するに途中で飽きて最後まで読んで(見て)ないのだ。

しかしながら、
浦沢直樹の「20世紀少年」は、
ビックコミックスピリッツに連載時から、
欠かさず読んでいたはずなのに、
ラストが思い出せなかった。

この漫画は、
ぼくとほぼ同じ世代の少年時代から始まり、
1970年の大阪万博が大きな役割を担う。
確かにぼくらにとって、
アポロの月着陸と双壁をなす、
血沸き肉踊る、
一大スペクタクルだった。

主人公ケンヂらの空想した、
地球を揺るがす大事件が、
その後現実のものとなり、
解決のために、
元少年たちが奮闘するという、
冒険ものだ。

犯人はだれなのかが最大の謎で、
もぉいい加減にしろっていうくらい、
正体がじらされる。

数か月前、
ブックオフで全22巻を安売りしていたので、
思い切って買って読んで見たら、
あらら、
それでも分からずじまい。
どうりで結末を憶えていないはずだ。

映画公開を機に、
紀伊国屋で全巻が平積みされていたので、
おぉと思ったら、
隣に「21世紀少年」上下巻があった。
これはまだ読んでなかった。
ははは、
下巻の最後の最後で、
ようやく正体がわかった。

それにしても、
連載足かけ8年。
子供時代と大人時代が、
入り組んで、
登場人物もいっぱいいて、
話を広げるだけ広げて、
ぐちゃぐちゃに絡ませた挙句、
最後は作者もどう決着つけたらいいか、
分からなくなってしまったのじゃないかしらん。

結局のところ、
主人公たちは、
少年時代のサビの部分しか思い出せなかったのが、
次第にイントロやエンディングまで想い出していくという行為と、
物語の進行がシンクロしていて、
みんなが忘れていた事を、
ただ一人覚えていた人物が、
いたってことなんだ。

その人物が逆に、
誰からも忘れられていたという、
皮肉な話だ。


●映画の配役はなかなかいいんじゃないかと思う。3部作になるらしい。そりゃ2時間ほどで、この入り組み様を表現するのは無理だ●24時間テレビをやっている。初回の司会は、大橋巨泉と黒柳徹子だった、ですよね?

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