2010年2月11日木曜日

期待

NHKの「プロフェッショナル」では毎回最後に、
ゲストは「あなたにとってプロフェッショナルは」と問われる。

それぞれに含蓄があって感心させられるけど、
最近、
表現は違えども皆同じことを言っているように感じてきた。

つまり、
プロフェッショナルとは「期待を裏切らない人」だ。


単純だけど、
こんなに難しいことはないと思う。

相手の期待に1度応えることはできるだろう。
でも、
次は絶対にそれ以上を期待される。

つまり期待を裏切らないためには、
不断に向上し続け、
なおかつ、
それが相手の自分に対する膨らんだ期待を上回るか、
悪くてもイコールでないといけない。


そこでリチャード・ボナ。

カメルーン出身の天才ベーシストとして、
彗星のように現れた彼は、
歌手としても超一級である。

梅田のビルボードライブの隅っこの方で、
トニックウォーターをすすりながら、
双眼鏡を手に2ステージ、
ずっと彼を観察した。


ベースのことは全然わからないけど、
歌でも演奏でも、
いわゆる「超絶技巧」を披露したのは、
一瞬だったように思う。

でもその一瞬であっさりKOしてしまうのだから、
やはりプロフェッショナルなのだろう。


音楽とは関係ないけど、
なぜか知らないけど「西宮」という地名がお好きなようで、
ステージ上で何度も繰り返していて笑えた。

それから、
その日本語が異常に上手いのに驚いた。
カタコトなんだけど、
そのイントネーションや発音が実に自然。

とにかく耳がいいんだろうな。


「インビクタス」(クリント・イーストウッド監督)をレイトショーで。

南アのマンデラ元大統領と、
ラグビー南ア代表との間にあった、
いわゆる「奇蹟のような実話」だ。

モーガン・フリーマンのマンデラ役がハマりすぎ(笑)。
演出も手堅く、
2時間超を見せ切ったけど、
イーストウッド監督の中では、
平均点じゃなかろうか。

「グラン・トリノ」以上を期待したからだけど。

それにしても、
今年で80歳になるイーストウッド監督の製作ペースは驚異だ。


ちなみにインビクタス(INVICTUS)とは、
ラテン語で「不屈」の意味。

マンデラ氏が27年間にわたる投獄中、
心の支えにしていた、
ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩の題名だそうだ。


私を覆う漆黒の夜
鉄格子にひそむ奈落の闇
私は あらゆる神に感謝する
我が魂が征服されぬことを

無残な状況においてさえ
私はひるみも叫びもしなかった
運命にうちのめされ
血を流しても
決して屈服はしない

激しい怒りと涙の彼方に
恐ろしい死が浮かび上がる
だが 長きにわたる
脅しをうけてなお
私は何ひとつ
恐れはしない

門がいかに狭かろうと
いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者
我が魂の指揮官(キャプテン)

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