トリノ五輪のころ、
ぼくの人生は、
ある種のピークを迎えていた。
公私ともに充実していた。
というよりも、
張り詰めていた。
だけど、
ジェットコースターが最高点に達し、
今まさに落下しようとする、
その矢先に自分がいるということは、
知るよしもなかった。
あれから4年がたった。
バンクーバー五輪が開幕した今日の午後、
ぼくは目を閉じて耳に集中していた。
耳に飛び込んできた人の声は、
消え入りそうに小さかったけど、
「SOS」であることは分かった。
その人の顔は疲れ果て、
なのに目は焦点を失い、
うわ言のように、
途切れ途切れに発せられる言葉は、
着地点を始めから見失っていた。
そんな悩みの渦中にある人に、
かけるべき言葉が見つからない。
その人が取り得る選択肢は思い浮かぶけど、
そのどれを選べば幸せになれるのか。
ぼくには何も確約できない。
そもそも「幸せ」ってなんなのだ。
どんなに苦悩に満ちた日々もいつか、
「幸せ」の必要条件だったと思える日がこないと、
誰に言えるのか。
「幸せの針路」は無数にある。
そのどれかを選ぶ勇気と、
結果を引き受ける覚悟があれば、
どの針路も「幸せ」に続くと、
ぼくは信じる。
●いきなり死者が出るわ、聖火の段取りで大失敗するわ、波乱含みの五輪開幕●バレンタインデーイブ。「もれなく」チョコも含め3個!アリガト(笑)
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