キム・ヨナの演技中、
浅田真央は浜崎あゆみの曲を聞いていたそうだが、
イヤホン越しに聞こえてきた大歓声で、
ヨナが素晴らしい演技をしたことは分かったそうだ。
その時点で、
自分の金はないと悟っただろう。
浅田はただ自分が完璧な演技をすることだけに集中したはずだ。
しかしそれはかなわなかった。
だから演技の後の抑え切れなかった涙は、
金を逃したことでも、
ヨナに負けたことでもなく、
自分に勝てなかったことへの悔し涙だっただろう。
19歳同士。
「宿命のライバル」とも評される二人のアスリートの、
どこに差があったのかと考えると、
大きく言えば「人生観」みたいなものではないだろうか。
五輪を、
自分の人生の一つの過程として考えられるヨナと、
それまでの人生の集大成と捉えてしまう浅田。
言いかえれば、
浅田は東大に入ることが目標の人で、
ヨナは優れた研究者になるために東大を目指す人みたいな。
大舞台に向け考え得るあらゆる練習をし、
納得づくで銀盤の上に立ったはずの浅田だった。
3回転半を2回決め、
本来なら行け行け状態になれるはずだったのに、
後半、
エッジが氷に引っ掛かってしまったため、
3回転を諦めて1回転にした。
浅田が最も悔いていたのは、
その自分の弱さだろう。
最後の最後で、
自分を信じてやれなかった自分。
でも、
浅田は自分の弱さを知ったことで、
きっともっと強くなる。
4年後にもう一度「鐘」を見てみたい。
●鈴木明子、安藤美姫。よかったよかったという感じ。
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