タイの現状は「騒乱」というのだそうだ。
「内戦」や「内乱」とどう違うのかよく知らないけど、
そんなタイミングで読んだのも、
何かの縁だろう。
「虐殺器官」(伊藤計劃著、ハヤカワ文庫JA)
近未来SF小説で、
「ゼロ年代最高」との呼び声もある。
その世界観に引き込まれるように、
グイグイ読み切った。
内戦には、
内戦に至る文法のようなものがあって、
その文法を用いれば、
どんな平和な国でも内戦状態にできるという発想に驚く。
突飛かなとも思うけど、
カンボジアやルワンダなんかを思うと、
あながちそうとも言い切れない。
誰だって平和を願い、
そういう国にしたいと思っているのに、
どうしてこうなるの?
という疑問は、
まるで坂本龍馬みたいだ。
でも実際、
人は時に、
何かに魅入られたかのように、
徹底的に殺し合う。
それは、
理屈ではなく、
あたかも人間の本性でもあるかのようだ。
人間はきっと、
性善説と性悪説に二分はできないんだと思う。
良心の行きつく果てが、
とんでもない悪夢だったなんてことも起きうる。
日本だって、
ドイツだって、
アメリカだって、、、
別にアフリカでなくても、
一定の条件が整えば人間は、
平然と狂気に化する。
暗い気分にはなるけど、
人間はそういう生き物だということを、
この本は認識させてくれる。
●著者の伊藤氏は、ぼくより10歳も若いのに昨年ガンで他界された。大変な才能なのに。亡くなってから知るなんて●難波「フラミンゴ・アルージャ」で「Flow33」のライブを。詳細は後日。
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