2010年4月14日水曜日

虐殺

タイの現状は「騒乱」というのだそうだ。

「内戦」や「内乱」とどう違うのかよく知らないけど、
そんなタイミングで読んだのも、
何かの縁だろう。


「虐殺器官」(伊藤計劃著、ハヤカワ文庫JA)

近未来SF小説で、
「ゼロ年代最高」との呼び声もある。


その世界観に引き込まれるように、
グイグイ読み切った。

内戦には、
内戦に至る文法のようなものがあって、
その文法を用いれば、
どんな平和な国でも内戦状態にできるという発想に驚く。


突飛かなとも思うけど、
カンボジアやルワンダなんかを思うと、
あながちそうとも言い切れない。

誰だって平和を願い、
そういう国にしたいと思っているのに、
どうしてこうなるの?
という疑問は、
まるで坂本龍馬みたいだ。


でも実際、
人は時に、
何かに魅入られたかのように、
徹底的に殺し合う。

それは、
理屈ではなく、
あたかも人間の本性でもあるかのようだ。


人間はきっと、
性善説と性悪説に二分はできないんだと思う。

良心の行きつく果てが、
とんでもない悪夢だったなんてことも起きうる。


日本だって、
ドイツだって、
アメリカだって、、、

別にアフリカでなくても、
一定の条件が整えば人間は、
平然と狂気に化する。

暗い気分にはなるけど、
人間はそういう生き物だということを、
この本は認識させてくれる。

●著者の伊藤氏は、ぼくより10歳も若いのに昨年ガンで他界された。大変な才能なのに。亡くなってから知るなんて●難波「フラミンゴ・アルージャ」で「Flow33」のライブを。詳細は後日。

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