
テレホンカードなるものが、
日本に登場したのは1982年12月。
あっと言う間に普及して、
一時は大人からこどもまで、
「テレカ」を持っていない日本人はいないぐらいだった。
携帯電話が登場するまでは。
今や公衆電話がどんどん撤去され、
テレカなど使ったことも見たこともないという子どももいるだろう。
今日の日経夕刊の「プロムナード」で、
歌人で細胞生物学者の永田和宏氏が、
次のような短歌を紹介していた。
逝き氏し夫のバッグのなかに残りいし二つ穴あくテレフォンカード
永田氏が選者を務める南日本新聞の歌壇で、
玉利順子さんという人のこの歌を取り上げ、
年間賞にも選んだという。
永田氏はこう書く。
作者の音は長く入院生活をしていたという。夕方になると、日課のように病院の待合室から電話をしてきたのだそうだ。残された一枚のテレフォンカード。そしてその二つの穴。その穴からは、生前の夫とのさまざまの楽しかった会話が蘇ってきたはずだ。
テレホンカードには、
確かに残度数を示すちいさな穴が開いていたよなぁ。
「二つ穴」に込めた作者の意図。
そしてそれを読み取る者。
それは、
テレカを日常として使った経験のある者にしか、
決して分からぬものだろう。
100年後にもこの歌は残るけど、
その感触は残るまい。
まったく別の暮らしをしていても、
ある時代を過ごした者同士が共有しうる感覚。
そういうものは確かにある。
記録媒体は進化し続けるけど、
こういうものは決して残せない。
話は飛ぶけど、
ヨッちゃんのギター講座のめざせ!ロック・ギタリストの第5回。
課題曲はキッスの「デトロイト・ロック・シティ」だった。
第3回がディープ・パープル「スモーク・オン・ザ・ウォーター」
第4回がドゥービー・ブラザーズ「ロング・トレイン・ランニン」
で次回がイーグルス「ホテル・カリフォルニア」
毎回泣かせる選曲だが、
いずれも30年以上前の曲。
若者にとっては、
ベートーベンと同じクラシックかもしれない。
番組の対象が、
ぼくら中年以上なんだな。
というか、
ヨッちゃんも言っていたけど、
今世紀に入ってから、
エレキのカッコいいリフやソロの曲って、
実はほとんどないんだね。
あのギターサウンドにグッとくる感触は、
今でも共有できると思うんだけど。
●ちなみに頭のテレカは初代のもので、岡本太郎デザインです。
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