たまたま入った本屋で、
パッと目についた本が、
意外に面白いことが多い。
あれこれ考えないということは、
つまり「背伸び」していないということだろう。
昨日難波のBook1で買った、
「村上春樹の秘密」(柘植光彦著、アスキー新書)もそのひとつ。
村上春樹のこれまでの歩みが、
コンパクトにまとめられていて、
しかも、
作品を横断的に分析する、
その切り口が新鮮だった。
「1Q84」のBOOK3が16日午前0時に発売されるという。
きっと行列ができて、
社会現象になって、
新聞ダネになるだろう。
で、
「村上春樹の秘密」についてだけど、
同書で紹介されている、
「お伽噺の31の機能」というのは、
ぼくは全く知らなかった。
ロシアのウラジミール・プロップという学者が提唱した説で、
昔話には特定のパターンがあるというもの。
ウィキから引用すると、
「留守もしくは閉じ込め」
「禁止」
「違反」
「捜索」
「密告」
「謀略」
「黙認」
「加害または欠如」
「調停」
「主人公の同意」
「主人公の出発」
「魔法の授与者に試される主人公(贈与者の第一機能)」
「主人公の反応」
「魔法の手段の提供・獲得」
「主人公の移動」
「主人公と敵対者の闘争もしくは難題」
「狙われる主人公」
「敵対者に対する勝利」
「発端の不幸または欠如の解消」
「主人公の帰還」
「追跡される主人公」
「主人公の救出」
「主人公が身分を隠して家に戻る」
「偽主人公の主張」
「主人公に難題が出される」
「難題の実行」
「主人公が再確認される」
「偽主人公または敵対者の仮面がはがれる」
「主人公の新たな変身」
「敵対者の処罰」
「結婚(もしくは即位のみ)」
多くの昔話(少なくとも魔法がらみの)は、
こういう展開をたどる、
ということらしい。
ちょっと調べてみると、
スター・ウォーズから、
ドラクエ、
宮崎駿作品、
そして村上春樹作品にも、
このパターンが読み取れるという。
およそ人間が考える物語の展開、
それも面白いものとなると、
大なり小なり似てくるもんだとも思えるけど。
そう、
重要なのは、
人間の行動(思考)パターンは、
結構限られているのだということ。
みんな千差万別の環境にあって、
運不運に左右もされながら、
唯一無二の人生を送っているように思いながら、
その実、
ほとんどのものは、
お決まりのパターンに落ち着くっていうことはよくある。
オレとあんたは違うんだって、
そう思っていても、
とどのつまり同じですよと、
そう嫌というほど思い知らされた今となっては、
とってもよく分かる。
昨日書いた「虐殺器官」も、
人間の思考パターンを悪用するヤツが出てきたなぁ。
かなり独創的と思われた作品でも、
そういう作品が生まれるパターンは、
以前の事例を踏襲しているだけってこともあるかも。
そういう意味では、
人間が人間である限り、
真の独創などめったにないのかもしれない。
それを息苦しく考えるか、
どうせ型通りにしか生きられないなら、
思う存分好き勝手にやってやろうと考えるかは、
その人次第だろう。
そういえば、
今日のNHK「歴史秘話ヒストリア」で、
吉田松陰を取り上げていた。
前にも書いたけど、
この人、
学校の歴史で習った印象と違い過ぎ。
笑えるほど無茶苦茶な行動を繰り返し、
弟子が止めるのも聞かず、
ついには死罪になってしまう。
型破りというか、
時代の捨石になるのを厭わない人。
たとえ捨石にでも、
なれれば素晴らしい。
●著者の柘植氏は、もう70歳を過ぎているのに、随分若々しい文章を書くので驚いた●寄り道読書ばかりで「ピストルズ」が進まない。ちなみに「1Q84」、今回はアマゾンでちゃんと予約してある。あぁ。
0 件のコメント:
コメントを投稿