2011年8月3日水曜日

分際

東日本大震災が発生して一週間後の、
3月18日、
スカイツリーが目標の643メートルに達していたと、
録画していたNHKのドキュメントを見て初めて知った。
634メートルの世界一高い自立式電波塔。
あの地震でもたぶん大丈夫なんだろうと思っていたが、
実はそうでもなかったらしい。

あの塔の構造はシャーペンのようなものだ。
展望台がある本体部分がシャーペンの胴体で、
そこから上の「ゲイン塔」と呼ばれる約140メートルの電波塔が芯。
建て方もまさにシャーペン。
胴体部分を作ったあと、
あらかじめ地上で作られたゲイン塔を、
ニョキニョキとジャッキアップさせたという。
精度はミリ単位であり、
番組では「巨大な精密機械」と表現していた。

震災が起きたのは、
ジャッキアップの大詰め作業中だった。
不安定なゲイン塔は揺れに揺れたという。
結果的には大丈夫だったから、
この塔の耐震性が図らずも証明されたということらしい。

ジャッキアップの過程では、
ゲイン塔が回転するという不測の事態も起きた。
日本最高の技術者があらゆる側面から検討したが、
原因はわからずじまいだったという。

たかが電波塔を建てるだけでも、
そんな訳のわからないことが起きていたのだということに、
いささか驚いた。

日本は科学立国だと、
何となくそう思い込んでいるけど、
原発事故の推移を見ていても、
実際のところはどうなんだろうと首をかしげる。
アメリカが月に人を送ってから半世紀近くたっても、
有人宇宙船さえ作れぬ国である。

高速鉄道事故でたたかれている中国でさえ、
4年も前に実現させている。
日本人宇宙飛行士は何人も誕生したけど、
有人宇宙飛行船の計画はない。

エネルギーも食料も自給率は低く、
自衛隊はあるものの、
実戦経験はもちろんゼロに等しく、
おまけに政治は三流以下。
中国を嗤う前に、
ぼくらはもう少し身の程を知った方がよさそうだ。

●プロフィールの写真を若い頃のものに変えてみた。セピアだぜ。

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