2011年8月19日金曜日

和風

「十三人の刺客」(工藤栄一監督)が公開されたのは、
昭和38年12月というから、
ぼくが生まれる前月だ。

とんでもない暴君が明石藩にいて、
どうにかしたいのであるが、
生憎将軍の腹違いの兄弟で、
うかつに手出しできない。

そこで老中(若き丹波哲郎)が、
目付(片岡千恵蔵)に暗殺の密命を下す。

参勤交代の帰途につく一向を待ち伏せる十三人が、
53人を相手に大立ち回りを演じる。

そのリアルなチャンバラシーンは、
この作品の最大の見どころなのだが、
ぼくはむしろそこに至るまでの「静」の場面がよかった。

様式美っていうのかなぁ、
「江戸時代かくありなん」みたいな豪華セット。
あの当時なら存分に残っていたであろう農村風景。

昔の時代劇って「世界のクロサワ」ぐらいしか知らなかったけど、
いやいやどうしてなかなか、
色々観てみようかと思った。

片岡千恵蔵が渋い。
和製ジャン・ギャバンって感じだ。

彼の台詞が印象に残った。

「生きようとすれば死に、死のうとすれば生きる」

戦後18年という当時にすれば、
それは戦争を生き抜いた者として実感のある言葉だっただろう。

映画では十三人のうちの一人、
西村晃演じる剣豪が、
まさしくこの言葉を体現していた。

しかし、
今のぼくには別の意味で心に響く。

保身だけの人生は退屈で、
後先考えぬ人生は輝く、
みたいな。

それにしてもサムライって、
「生きがい」より、
「死にがい」を求めていたんだなぁ。

●引き続きブロガーの障害は直っていない。こんなことでいいのか?


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