2012年4月14日土曜日

仁術

病院で患者に「様」を付けるようになったのは、
亡き親父がガン治療をしていたころだったから、
かれこれ五年ほど前のことになる。

もちろんぼく個人の経験だから、
ほかの病院ではもっと昔からだったかもしれないけど。

その時覚えた強烈な違和感は、
今でも変わらない。

なぜか。

結局この問いの答えは、
「病院にとって患者は客なのか」という一点に尽きると思う。

病院は患者に治療というサービスを施し、
その対価として患者は金を払う。

そう考えれば確かに病院も「商売」であろうが、
それならば、
学費を払っている生徒に学校は「様」を付けねばなかろう。

役所も住民は「様」扱いとなる。

しかしそうならないのは、
金のやり取りはあっても、
医療や公共業務は商売ではない、
そういう思いがあるからこそだ。

医は商いにあらず。

仁術なり。

患者に「様」を付ける病院は、
仁術ではなく商売をしていると、
意思表示しているわけだ。

セカンドオピニオンとか、
医療過誤訴訟とか、
患者と医療の関係も確かに変わってきているけど、
やっぱり医は仁術であってほしい。




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